ため息をつきながら、 歩いていく。 辛いと純粋に思ったが、その思いをどうすることも出来ずに、 ドリフトは廊下を歩いていた。 そんな自分の前に表れた人物に、ドリフトは踵を返した。 
 喧嘩しているわけではない。強いて言うならば、 触れたいし触れられたいとさえ思う。だが、それが出来ない理由があった。

ただいま二人には… おさわり禁止令が発布されている。

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当初はそれさえも楽しかった。
メールなんかしてみたり。
電話なんてしたり。
モニターつけるようなことも。
ラチェットと己の関係は、 初っぱなから爛れていたのでそんな当たり前の恋人らしい行為は楽しかった… のは束の間。

本当にラチェットの声は悪い。

「ドリフト、 お前が恋しいな」

ぞくりと、 背筋を摩るような甘い声音に惑わされたドリフトは、 いつの間にかモニター越しのラチェットに欲情してしまっていた。
そんなのもラチェットはお見通しなのだ。

「もう一週間になるか?」
「そう、かも」
「まさか、 私以外の奴に開いてないだろうな」
「あんただけだってば…、 信用性無いなぁ」

ラチェットの言葉が戯れだとは気付いていたが、 そんな風に言われるのは心外だと思う。

「あんまりそう言うことばかり言ってると浮気するぞ」
「何?お前はもう私じゃないと満足できないはずだが」
「過剰だ」
「ドリフト」

モニター内のラチェットと視覚器があった。 あまりに優しくて、 思わず高なった。

「ドリフト」
「う、 み、見ないでくれ」

ぞくぞくと、 募る快感に耐え切れなくて、視線を反らした。 だが、嘲笑うようにラチェットは言った。。
 
「好きだろう? 見られるのも見せるのも」
「な、 そんなこと…!」

椅子に座ったまま、 もぞりと下腿を動かした。

「どうなっている?」
「… え?」

ラチェットの瞳が、 怪しく細められる。 何を示唆しているのか全てわかってしまって、 だがそれすらも己の望まんとすることだった。

「や、あ…、 う…」

ラチェットが笑うその前で、 おずおずと足を開いた。 椅子の上で行うその行為は、 不安定で下に落ちたらどうしようとか、 そんなことさえも考えてしまう。 だが何よりも、恥ずかしいのは目の前に現実にいるわけじゃない相手に、 見せていることだった。

「ら、ラチェットこれ、やだあ…」
「もう蓋の外まで濡れてたのか」
「う…、 ううぅ…」

何の羞恥プレイだろうか。 いつも、ラチェットに乱されていく機体は、 その瞬間から理性の崩壊の音を聞くのに、 今日はこの画面の距離のせいかやたらと思考が鮮明で、 恥ずかしくてたまらない。 別段初めて見せるわけではないのだが, はずかしすぎる。

「自分でできるだろう?」
「え、 っや! ああ…、 もう……」  

文句を言いつつも、 自身の指をゆっくりと口元に持っていく。 呈の良い潤滑剤が浮かばなくて、 丹念になぶっていく。 そういえば、 ラチェットに気持ちを伝える前にもこうやって自慰したな等と思う。 れろ、 と指先からその間に舌を這わせると, ぞくんと背筋に悦が走った。 まさか自分で自分の性感を見つける羽目になるなんてと、悲しくなった。

「ふ、は…、んんぅ、れろ、ちゅっぷ…、 れる、ぴちゃ…、」

存分に舐めしゃぶり、 口腔油で濡れる自身の指を受容部に触れさせる。 羞恥か何かで指が震えるが、 それでも目の前の快楽をむさぼりたくて、 蓋をずらす。

「そんなにぬらしてたのか」
「そうみたいだ…、 」
「私によく見せろ」
「あ、 も、 も…、 こ、 これいじょう…っ!!」

ラチェットに言われて更に脚を開く。 見せ付けるような体制に、 果してラチェットが見たいんじゃなくて己が見せたいのではなかろうかと思考がまとまらない。

「お、おわり、でいい?」
「そのままだ」
「ぇえ…、 うう、 はあ…、 」

ラチェットから言われる前に、 ちゅぷんと受容部内に指を差し込んだ。 とろとろの受容部は、 なんの痛みも伴わず指を飲み込む。 ぐるりと指をまわして、 今度は指を三本に増やした。
咎められるかもと、 一瞬不安になったが、 ラチェットはじっとその様を見ているだけだった。
熱心に見つめているのが、 恥ずかしい。

「あ、あ、! んやあ…、 らちぇ、 なにかいってぇ…!」
「ふしだらだな、 ドリフト。 厭らしい」
「ふああ…、 ど、しよ、きもちいぃ…、!」

ラチェットの意地の悪い言葉に興奮する。ぐちゅぐちゅなる水音にさえも、 ラチェットの熱烈な視線も、 なにもかもが興奮の材料だった。

「らちぇっと、 らちぇっとの、 見せて」
「…… 見てどうする」
「だって、 ちゃんと、 たってるかわかんなぃ…!」

俺にはさせるくせに、 自分は見せてくれないのかといいはしないが恨みの視線を向けた。
ラチェットは、 くすりとわらって、 自身の指を見せた。 その指に絡む液体が、 官能油だと直ぐに気がついた。
そして、 次に見せられた行動にドリフトは驚く。

「ちゅちゅ…、 れる、 ぴちゃ…、」

ラチェットがその手に絡む官能油を舐め取っていくのだ。 それは、 普段ならドリフト自身がよくやる行動だった。
俗っぽいその行為が、 だが、 己はこんなにふしだら極まりなく舐めていただろうかと頬に熱が集まる。

「、お前の真似だ」
「う、 うそ、 そんなに猥らじゃない…!」

画面があることがより客観的に見せてくれるその効果にドリフトが狼狽する。
自分はおもっているより、 猥らかもしれないといまさら思う。 一瞬視界がぶれた。

「… おい」
「や、やだ、見せないで、だめ」
「お前が見せろといったんだ」
「やだ、 いい、 やあ〜」

画面に映ったラチェットの接続機は至極淫猥だった。 思わず眼をそらしてしまうほどに。






鳳櫻月雨