「ドリフト」
「やだ、 なにそれ、 え、えろい」
「かわいこぶるな」
「うわあ、 」
見たくないのかときかれれば、 おそらくドリフトはこういうだろう。 「見たい」と。 おずおずと、 視線を画面に移す。
「う、うわあ…、」
さっきから感嘆の声しかでてこない。 そして、 一度見てしまえば何度見ても同じなのではないかと、 いつのまにかまじまじと見つめていた。
「…、 すご…」
それが、 いつも自分の胎内にあるのだ、 とか。 生で見るのと全然違うな、 とか。 ぷくりと、 官能油をもらせたその先端を舐めたいとか。 思わずごくりと喉がなる。
それに、 気がついたらしいラチェットがくすくす笑う。 はっと、 我に返った。
「熱烈だな」
「うう…、 だってすごいえっちだ…」
「いつも見てるだろうに」
「全然違うよ…」
もう行為に集中してしまおうじゃないかと、 あきらめてドリフトは胎内にある指を動かしだした。
「あ、 あんたの顔見せて」
「もういいのか?」
「い、いい。 いいから、」
また画面がぶれた。 今度はそんな淫猥なものは画面に映っていなかったが、 ラチェットと視線が合った。 恥ずかしい。
先程みたラチェットの接続機を脳裏に浮かべる。 亀頭があんなに張ってた? とか、あんなに太いのはいるのかな? とか訳の解らない思考が浮かぶ。 ぐちゅりと、 指で内部を広げてみる。 冷えた空気が入り込む気配がした。
「ら、らちぇっとぉ…、!」
「…、 ドリフト」
「あ、 どうしよ、ゆび、とまんなっ…!!」
もっと奥なのに、 もっと奥にほしいのに。 胎内に感じたい。 ラチェットの、 熱を、猛りを。
「たんない、たんない、らちぇ、っとぉ…!」
「…、 私も、お前が恋しいよ」
「やああ、あ、ふっ…!らちぇ、らちぇっと」
浅いところを引っかくように指を動かした。 ぷくんと膨れた内部の突起を、 夢中になって探す。
「あ、やだ、いけない、いけないらちぇっとぉ」
「おちつけ」
「いきたい、なんで、いけない、やだああ…!」
奥がたまらなく疼くのだ。 あの熱をよこせと、 暴れるように疼いていた。 あの奔流に押し流されてしまいたいのに、 それが叶わない。
「ドリフト、 ドリフト」
ラチェットの呼びかけに、 いつの間にか閉じていた視覚器を開いた。焦るドリフトと反対に、 ラチェットは機嫌がよさそうだった。
「た、たすけて、いきたい、っ!」
「私の言うとおりにしろ」
さっきそういえば、 ラチェットはなんていっていたっけ?と、 考えそうだおちつけっていってたなと、 思い出す。 おちつくってなんだろう。 と思いながらも、 乱れていた排気が徐々に正常になるのに気がつく。
「そんなに乱暴にするんじゃない」
「いきたい、」
「指を抜け」
「うう…、 」
内部に入り込んだ指を引き抜く。 ひくんひくんと脈打つのが解る。 それはおそらく、 ラチェットにも見えているだろう。 自然と腰も揺れる。
「自慰の仕方も忘れたのか?」
「ち、 ちがうよ、 でも、 だけど…」
「忘れてしまったから達せないんだ、 ドリフト」
自慰の仕方もわからないなど、 そんな初めてじゃないのにありえないと思うも、 実際いけないのだから、 つまり自慰の仕方もわからないのだ。 画面がぶれた。
「あ、ま、またみせんのかよ…」
「今回はただ見てろ、絶対受容部は弄るなよ」
ラチェットの指が、 接続機を握る。 ぬるりと、 扱くその様が酷く厭らしい。ぱくぱくと、 開閉する排出口も、 ひっかけるように亀頭冠を擦る様も、 思わず、指が受容部に行きそうになるが、 ラチェットの言いつけを守ろうと拳を作る。
そして、 よくきくとラチェットの荒い排気の音が聞こえてきた。 それでだめだった。
「らちぇ、らちぇっとお、さわりたいっ、 さわらせてぇ」
きゅんきゅん疼きを訴える胎内が、 切ない。 思わず涙が零れる。
「がまんしたくないっ、 やだ、やだよ!」
「なら触ってみろ」
ラチェットの許しに、 無我夢中で内部に指を突っ込んだ。 柔かくうねる内壁は、 ドリフトの指を締めつけ、 内部の突起をまさぐればすぐに見つかった。
「あ、やっああ! はあ、ああん、きもちぃ、らちぇっとぉきもちいい…!」
「…、 そうか」
「あ、 どして、や、きもちい、ああやら、らめぇ、いく、ああんっ」
気持ちいい、 気持ちがいい。 突起を突くように指を動かせば、 そのたびにどぷどぷと官能油が零れる。
「…、 つまんでみろ」
「え、 あ… は、あ…、んぅうう! んやあああぁ−−−!!」
おそるおそるきゅうっと突起をつまむと電流のような強い悦が走った。 びくびくと、 機体を震わせながら達する。 ぷしゃりと、 潮を吹くのも解った。
「あ、あ、…、 ふぁあ…、う…、やう…、、、!」
「はあ、は…、 ふう…、 」
息も絶え絶えにラチェットに言った。 それは言っては成らない言葉だったのに。
「…、 あいたい」
たとえばそれが何光年も離れた彼方にいる相手ならばまだわかる。 だが、 自分らの距離はたかだかうん百メートルなのだ。 会いたい、会いたい。
「あんたが必要なのに」
そこからの行動は、 早かった。 あまりにも早すぎた。 その事に反省はしている。だが、 ドリフトは確実にこういえる。
「その日の接続はすごく気持ちよかった」
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鳳櫻月雨