あとはなんだろうか。 もはや寝るくらいしか脳裏に浮かばないが寝るのはまだ早すぎる。 適当に、 だれかれ構わずメッセージを送りつけてみようかと思うも、 余計にむなしくなるかもしれないと辞める。

結局その日は何も浮かばなかった。

また数日が立って、 ドリフトは排気をついた。 あきれたように、 ロディマスが言った。

「日に日に色が増してくなお前の息」
「……… たまってるんだよ」
「だろうけど、 もうちょっと色香振りまくのやめてくれないか? ラチェットもなーんか苛々してるし」
「それは嬉しいな」

ラチェットが苛々しているなんて嬉しい。 つまりこの不満が、 ドリフトだけじゃないということだ。

「それはそうと」

なんとなく気分がよくなるドリフトに、 ロディマスが言う。 その唇がイタズラに弧を描いているのをみて、 さて何を思いついたのだろうかとわくわくしながら聞く。

「二週間ぶり? に接続するんだろ?」
「無事我慢できたらね」
「なにか特別なこと、 しなくていいのか?」

特別なこと、とはなんだろうか。 ドリフトが、 首を傾げるとロディマスが更に笑みを深める。 こういう顔は、 正直可愛らしいとさえ思う。 たまにえげつないイタズラを思い浮かぶので、 注意して話を聞かなければならないけれど。

「クスリ」
「へ?」
「飲んで見れば? 初心忘るるべからずっていうし」

ラチェットとの接続の際、 官能薬は使っていなかった。 いわゆる媚薬だ。 だが、 なんだかまだ裏がありそうだった。 少しだけ疑いながら尋ねる。

「… 正直に話して」
「あー、えっと…、 これ」

これ系の薬ってなんでピンク色なんだろうなあと、 思考がそれる。 だが、 そんなことはなんだっていい。 問題はこれを『誰が』作ったか、 だ。

「結構強めの薬作ってくれって、 パーセプターに頼んだんだ。 でも、 これ俺が飲むわけじゃなくてマグナスに飲ませようと思って。 だけど、 効能がいまいちわかんないから…」
「…… ウルトラマグナスに飲ませるならこっちじゃなくて、 精力増強の方じゃ?」
「あ、 そっか。 ならまた作りなおして貰わなくちゃだな」

パーセプターって本当に何でもつくるな… などと、 我らが科学者に思いをはせる。 だが、 彼が作ったのだったら、 まだ安全かもしれない。死にはしないだろう。

「効き目は?」
「うーんわからない」

つまり、 実験台になれということだろうか。 心配そうな表情で、 ロディマスが言う。

「嫌ならいいぞ?」
「…… 俺が断れないの知ってていってるんだろう?」

ドリフトは見せられた小瓶を、 ありがたく頂戴する。 久々に薬なんて飲むなあなどと思うも、 たまにはそれもいいかもしれない。
それになにか副作用があったときに、 艦の長と副官に一大事でもあったら大変だ。 そんなことになるんだったら、 自分が飲んでぶっ壊れたほうがいい。
自分の、 薬禍耐性はそこそこだと思うし、 何かあっても大丈夫だろう。

「何もないことを祈ってて」
「うん、 一晩で一本って言ってた」
「ああそう…」

怖いので半分だけ飲もうと心に誓った瞬間だった。

−−−−−




鳳櫻月雨