翌日、 ロディマスは再び治療室を訪れていた。 いわずもがな、 パーセプターのことを気にしてだった。
「まだ、 目覚めないのか」
「お前は私の話をきいていたのか」
「うん。 昼に目が覚めるって」
「今は」
「朝かな」
ロディマスを追い立てるように、 ラチェットが治療室から出す。
「連絡くれる?」
「やるから、 自分の仕事をしろ」
「絶対な!」
今日は仕事ができそうだ、 とロディマスは意気揚々と執務を開始した。 だが、 手は進まない。
それもそうだろう。 パーセプターの快気祝いは何がいいだろうかとかを考えているのだから。
いつぐらいから、 復帰できるのだろうかとかそんなのが頭の中をくるりくるりと支配していく。 楽しい事は好きだ。
と、 思ったのだが、 ふと疑問が浮かんだ。 そもそも、 パーセプターが騒がしいのが嫌だとしたら仕方がないのだ。 そして、 気がつく。 存外に、 自分はパーセプターのことを何も知らないのだと。
比較的交友関係の把握等は行っていると思っていたが、 パーセプターのことに関して言えば何も知らない。
パーセプターは賢いから、 あまり自分のことを他所に話したりはしないのだろう。 秘密主義ともいえるかもしれない。
ブラー辺りに連絡でもとってもみるかと思うも、 目が覚めたら直接聞けばいいと思いなおした。 サプライズは好きなのだが、 それは自分だけかもしれないのでやめておくことにする。
と、 そんなこんなを考えていたのだが、 ラチェットからの連絡が一向に来ない。 痺れを切らして、 外に出て…
「どこに行く」
「あー…ええと」
ウルトラマグナスに捕まった。 流石に昨日の今日で逆らいたくない。 すごすごと部屋に引き下がり、 椅子に座り、 … 執務もしたくない。
がりがりと、 机に落書きをする。 だが、 それもすぐに飽きた。
ため息をついて、 机に伏せる。 腕の中に顔をうずめて、 排気をしまくる。 とはいえこんなことをやっていても、 どうしようもないので、 顔を挙げて執務に取り掛かる。
いやいやなことに違いは無いのだが、 やっているうちに没頭しだす。 どうせだ、 いろいろ終わらせてしまえ。
こんこんと、 扉が叩かれる気配がしてロディマスはふと扉にめをやった。 ウルトラマグナスならば無視してしまえと思ったロディマスだったが、 扉は一向に開く様子が無い。 もしこれがウルトラマグナスならば、 扉を叩きながら入るなどという器用なことをしてくるだろう。 つまり、 ウルトラマグナスではないということだ。
「…、?」
疑問を抱きながら、 ロディマスは扉を開ける。
「誰だ、あ、え?」
「いれてはくれないのかい?」
「あ、お!パーセプター!!なんで」
「別に大したことないから自分で歩いていくってラチェット医師に断ってね」
「え? 大したことない? 嘘、 … っつーか、 本当に大丈夫なのか?」
「花火の爆発程度で、 死にはしない」
最も、 君の生成したものは花火どころか軽く爆弾くらいの威力はあったけれど。 と、 その事実は自らの脳裏にだけとどめておこうとパーセプターは、 にっこり笑った。 嬉しそうに笑っていたロディマスだったが、 直ぐに顔を曇らせた。 その様に、 少しだけ不安になる。
「えーと、その、ごめん」
「何が、かな」
「…、 まさか爆発すると思わなくて」
「ああ。 私も思わなかった」
「怒ってるだろ?」
「いや、 それよりもあの花火に火をつけたのがロディマスじゃなくてよかったと心底から思っているよ。 あんな眼にあうのは私だけでいい」
パーセプターの言葉に、 しょんぼりとうなだれるロディマスだったがすぐに顔を挙げた。 そして、 ぎゅうと、 だきつき再び言う。
「ごめん」
その様に驚いたのはパーセプター自身だった。 そもそも自分はだれかから抱きつかれたことなどないので、 この場合どのように反応したらいいのかわからない。
たとえば、 ロディマスのようにだれかと肩を組んだり触れ合ったりすることに慣れているわけではないし、 そもそも戦うことを決意したのも大分人より遅れている。 さあ、 どうしたらいいのか。
なけなしの気力を振り絞ってロディマスの背に手を回そうと意を決した瞬間、 ロディマスがぱっと離れた。
「飲みに行こ!」
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鳳櫻月雨