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恋だといわれたパーセプターは現在、 ドリフトと深く話し合うことになっていた。

「恋っていろいろあるんだけど、 うんつまりその人と接続したいかしたくないかってこと。」
「接続」
「極論なんだけど」
「………… 」
「無言は肯定ってことでいい?」
「ドリフト」
「ん?」

パーセプターはドリフトにむけて、 言った。

「君の…、 いや、 私の経験上、 もし私が廊下で言った事が愛の告白であると捕らえられるとするなら、 それはつまりアウトローなことだろう?」
「うーん……、 そうだな、 でもいいんじゃないか? あれだけ言えば向こうもこっちを意識せざるを得ないし、 もし、 向こうにその気が無くても、 先に意思を伝えてるわけだからそれをどう受け取っても、 向こう次第だろ」

そしてドリフトは、 知れ渡った事象についてどのように収拾をつけようかと、頭を悩ませていた。 現在、 ロディマスは引きこもっているのだが何時までも引きこもっているわけにはいかないし、 そもそもこのままではいろんなところで支障が生じてしまう。 どうにかまるっと収めたいと、 ドリフトは画策していた。

「わかんないものは仕方が無いからもうしょうがないとして…、 もう一度気持ちでも伝えてみたら? それで、 部屋に入れてくれたら勝率あるんじゃない?」

でも色恋のお話はどうせ、 好き勝手言われて消えていくしな…、 等と思い、 余計な手出しをしないほうが己のためではないだろうかとドリフトは考えていた。

「大丈夫、 ロディは断る時でもそんなに悪い断り方はしないから」
「………… 断られる前提か。」
「…… だって、 どうみても、 ウルトラマグナスに、ね?」
「やめてくれないか」

知っているのだ。 おそらく、 ロディマスはウルトラマグナスが好きだろうことを。 彼らの親しげな様を見てもわかる。
ああ、 こんなことになるんだったら、 誰かに相談するべきだったと、 パーセプターはいまさらながら、 頭を抱えた。 その代わりに月白を傾ける。

「慰めるときはみんなで慰めるから安心してくれ」
「私を肴にしないでくれ」

パーセプターは、 注がれた月白を飲み干した。

「がんばれ」

ドリフトの慰め交じりの、 応援の言葉にパーセプターは廊下を歩いていく。その行く末にからかう声が聞こえてこないことも無いのだが、 それは無視する。 というより、 今はそんなことに構っている場合ではない。

扉の前に立って一つ排気してからパーセプターは、 扉を叩いた。

「……、なに、誰」

ぼんやりと眠そうに、 声が聞こえてきこえて扉が開いた。 二人の間に沈黙が流れる。

「…、 どうした…?」
「その、 先刻は申し訳なかったと」
「ああ、 う、ん。 …、 入る?」

勝率あるといっていたドリフトの話が脳裏をよぎった。 だが、 焦っても始まらない。

「いいのかい?」
「… 立ち話も難だし」

招かれるままに、 部屋に入る。 躊躇しながら、 中に入るとロディマスは何かをごくりと飲んだ。 確かに、 それぐらいしないと落ち着けはしないだろう。 くるりと振り向いて、 何事も無かったようにロディマスは言った。

「用件、 何」
「きちんと伝えたくて。 私は君に恋している、 ロディマス」
「…… うん」
「… 断るなら断ってくれて構わない」
「… うん」

なんだか煮え切らない。 そんなロディマスらしからぬ態度に、 パーセプターは疑問を覚える。

「ロディマス?」

一歩距離をつめるも、 ロディマスには逃げることなくただ視線を下に移しただけだった。

「… ロディマス」
「何」

そっと、 顎を持ち上げる。 ロディマスは嫌がることなく、 パーセプターの方へ顔をやる。

「… キスしてしまうよ」
「…… うん」

少しだけ疑問が残るも、 パーセプターはロディマスの唇に触れた。 掠めるようなそれは、だが確実に口づけであった。

「ロディマス」
「…… 嫌じゃないよ別に」

なんとなく、 煮え切らないその態度に少しの不安が浮かぶ。 もしや、 彼は妥協でこの無体を許しているだけなのではないかという不安だ。

「ロディマス」
「… もっとして」
「ロディマス、 別に私は、」

その次の言葉は、 ロディマスが繰り出した口付けによって塞がれてしまった。 唐突な事態に驚いてだが、 ぬるりと入り込むロディマスの舌に絡め取られてしまう。 こんな展開は全く予想していなかっただけに、 パーセプターはどうしたらいいかわからない。

「ん、ちゅ、は、ふ、ぱーし、ぃ…、んんぅ…、」

ロディマスの鼻にかかった声が実に色っぽい。 さて、 ロディマスはどうされたいのだろうか。 ただ、 したいようにさせておく。 しばらくすると、 不満げに唇を離してロディマスが言った。

「嬉しそうじゃないな」
「あまりに唐突すぎて。まるでやけになっているようだ」
「… やけなんじゃなくて」

少しだけ冷静さを取り戻したのか、 ロディマスがパーセプターをまっすぐに見つめて言う。

「あんなに言ってくれたのに、 それに返せる言葉がなくて、 … えーっと、 対抗心燃やしたんだよ」
「… つまり?」
「俺もあんたが多分すきなんだと思う、 けど、 そういうだけじゃ、 」
「でも、 君にはウルトラマグナスが居るだろう?」
「だって、あれ演技だもん。 めんどくさいからそういう雰囲気だしてって頼んでるだけ。 俺これでも人気者なんだ。 変な気起こされて強姦事件とかになっても困るし」

確かに、 ロディマスは人気者だ。 それが彼なりの自衛とはしらなかった。

「でも、 俺も、 パーシーのことが好きだってわかんないんだ。 だって今日言われて初めて意識したし…」
「… それなら、 ウルトラマグナスと一緒にいたほうがいいのでは?」
「俺の理想の人って誰だか知ってる?」

ふう、と小さく排気して、 ロディマスは言った。

「マグナス相手に萎縮しない人なんだ」
「… 中々見当たらないな」
「ここにいるじゃん。パーシーが。 花火事件のとき俺のこと突き出さなかったろ? あそこまですごまれたら大抵引き渡すぜ?」
「私はただ…」
「俺も、 一緒にいるのはいやじゃない。パーセプターのいろんなところ、 もっと知りたいと思うし…、 だから… キスしてみた。 嫌だったら無理って言おうと思って、 だけど、 」

ロディマスは一歩、 距離をつめた。 吐息が絡み合うほどの近さで言葉を紡ぐ。

「あんたとのキスは気持ちいい…」

ロディマスが言い終えるのが早いか遅いか、 ロディマスの唇にパーセプターは噛み付いた。 早急すぎる口づけではあったが、 健気にも舌に絡みついてくるロディマスが愛おしくて強く抱きしめた。

「ん、ちゅ、ちゅく…、はぁ、ぅん…、 ちゅる、」
「…、ちぅ…、れる、は、ちゅく…、ぴちゃ、んんぅ…」

絡ませあう舌が痺れるように甘い刺激を伝えてくる。 その刺激に、 誘われるように互いに奪い合った。

「は、ん…、ぱーしぃ、ぱーしー…」
「その先を望んでも?」

さっと、 頬に赤みを上らせて俯き、 だがこくりと頷いた。 それを了承とし、 ロディマスを寝台へと押し倒した。

鳳櫻月雨