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大分きたにも関らず目的の場所にはたどり着くことが出来なかった。 ディセプティコンの部隊が、 西へ東へ移動しているのは知っていたが、 ここまできてもたどりつけないなんてのもおかしいと思ってしまう。 斜陽になってきているのに全く持って硝煙と死体以外はなにも見当たらなかった。 出直す方法もあるが、 あれほどドリフトに啖呵をきったデッドロックに帰るなんていう選択肢はなかった。
だが、 耳に聞き覚えのある轟音に、 思わず空を仰ぐ。 追って来るとは思っていたが、 まさかこんなに早く追って来るとは思わなかった。
やはりドリフトにもつげるべきではなかったと思うも、 しられてしまった以上はどうしようもない。
自分も飛行型である。 だから故に、 あえて逃げることはしなかった。 地上を這ったとしても上からでは間違いなく見つかってしまう。

「デッドロック!」

ウィングは地面に降り立ってすぐにデッドロックに近づく。 それすらも許したくなかった。

「こっちくんなウィング」
「それを俺がきくとおもってる?デッドロック」
「何しにきたんだよ」
「お前を連れて帰りにきたんだよ。 別に俺は、 お前がディセプティコンに入ったってなんだってかまわないけれど、 俺を出し抜くようなやり方はだめだと思うよ」

その言い方にばつがわるくなる。 たしかにウィングに言わずに出てくるというのは出し抜いたのと一緒である。 ドリフトには話したのだからなおさらだ。

「あんたが止めるとおもったから俺は…」
「ちゃんとした理由も聞いてないんだから止めるに決まってるだろう。 帰るよ」
「やだ!はなせよウィング!」

手首を握りこまれて引っ張られる。 それに逆らうように、 デッドロックは声を荒げた。

「いやだじゃない、俺とお前はこの件についてまともに話し合ったことがないんだから、 話し合うべきだ」
「か、帰らないって決めたんだ!」
「誰かを殺すために俺は、 剣の扱い方や握り方を教えたんじゃないからね。 そんなことしようものなら、 許さないよ」
「うるさい、 俺がなにしようが勝手だろ!」
「お前以外のものなら何をしたってかまわないけれど、 お前は別だ。 だってお前は俺の大切…、 デッドロック!!!」

突然、 轟音と火薬の匂いが一面に広がった。

「…… デッドロック…?」

ぐらぐらとゆれる世界で呼びかけられて、 視覚器を凝らす。

「怪我は、ない?」
「う、ウィング」

震える手で、 ウィングに触れれば循環油が指をぬらした。ウィングの装甲を貫通するそれが何か、理解がついた。 覆いかぶさるように、そして傷ついた姿に、ウィングがデッドロックをかばって被弾したと悟る。

「俺は大丈夫」

そういって、視覚器から光が消えた。 あまりに突然の出来事だった。どうしたらいいのかわからない。だが、真っ先に連絡したのはドリフトだった。

『デッドロック…?』
『ど、ドリフト…』
『デッドロック!ウィングには会えた?』
『ドリフト…!』

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鳳櫻月雨