第五話


第五話 小狐丸と和解


小狐丸の手入れも終え、やっと自分に与えられた自室に戻ってこれた。本丸に来て四日目だが(倒れて意識を失っていた期間も含めれば)、今日は特に怒涛の日であったような気がする。
手入れも、意識を失うことなく無事に終わり。疲れているだろうからと三条派の刀達に自室に追いやられてしまった。

小狐丸を目覚めるまで診ておこうかと思ったのだが、寝起きざまに襲われてしまっても自力でなんとかできる自信もないし。
小夜左文字が夕餉も運んできてくれて、今日は寝ようかと思い布団に入ったが、今まで体験したことの無い出来事が度重なったからだろうか。不思議と身体は疲れているのに、アドレナリンというやつが出ているからだろうか眠気は襲ってこない。

瞼を閉じて今日あった出来事を整理しなきゃな、と寝るのも諦めて溜息をつき寝返りを打った。

今日一日この大きな本丸をある程度歩いた筈なの刀剣男士とあまり出会わなかった。きっと、納得いっていない刀剣男士は部屋にこもっているのであろう。だが、それ以外は元あった昔のように戻っているようで一安心だ。
自分という異物が全員に受け入れられなければ、これからの戦いや生活にも支障をきたす。さて、これからどうしたもんか。

本格的に眠れなくなったのでこんのすけから貰った書類でも読もうかと書類に手を伸ばした時、「起きておられますか?」という声がかかった。この声は、小狐丸か。

「…はい、起きていますよ」

まさか小狐丸から来るとは思わなかった。反応が少し遅れてしまったのは仕方が無いだろう。慌てて髪を整えて襖を開ければ内番服を着た小狐丸が立っていた。

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