bug-3 03
※一虎目線※
初めてのセックスは、とても甘く、神聖なものだった。
狭い所を無理矢理に押し通すのは案外骨が折れたけど、ひとつになれた瞬間の喜びは例えようのないものだった。心の準備ができていなかったのか、あの子は随分と恥じらっていたけど、こういうのは早い方がいい。
性欲なんて下世話なものじゃない。これは彼女にとって、オレがすべき大切な役目の一つだった。
オレがいない間におかしな奴に掴まったりしてないか、ずっと不安だった。けど、彼女の体内から漏れ出た精液に混ざり込んだ血液が、彼女の身の潔白を証明してくれた。
何もかもが完璧だった。
親父が絡むと色々面倒だから、あの子には、あいつがいる間は静かにしているように言って聞かせた。フォローする為に家にいなきゃいけないし、不便はあるけど仕方がない。あと二日の辛抱だ。あと二日すれば、知り合いの鍵屋がドアノブを付け替えに来てくれる事になっている。
オレの部屋から親父の目を逸らす為、どうしてもリビングか台所にいる必要があった。普段なら絶対にしない。そもそも家に居合わせること自体が稀だったし、親父と顔を合わせれば言い合いになるからだ。散々やり合ったせいで、部屋に戻るとあの子が不安そうな顔をしていた。オレは彼女の耳元に、「大丈夫だよ」と囁きかけて、その柔らかい頬にキスをした。
その日の夜は、同じベッドで眠りについた。オレの腕の中で丸くなる彼女は、まるで子供みたいだった。オレは満ち足りた気持ちで朝を迎えた。目を覚ました彼女が、少し疲れた顔で、それでも愛らしく強請るような目をしたから、もう一度抱いた。それは昨日を辿るような行為だった。彼女が喉の奥で鳴く度に、愛おしくてたまらない気持ちになった。
事後にウトウトしていたら、先にシャワーを浴びてきた彼女が静かな声でオレを呼んだ。
「わたしの制服、どこ」
「ん? 捨てた。もういらねぇだろ、あんなもん」
「……そう。わたし、何を着たらいいの」
「とりあえずオレの着といたら。ピッタリってわけにはいかないと思うけど」
少し怠い身体を起こし、今出してやるよ、と声を掛けて服を適当に漁った。
「なんか腹減ったな……。ユメ、オレ、シャワー浴びてくっからちょっと待ってて。コンビニ行こ」
オレの服を大事そうに抱える彼女の額にキスをする。
「わたし、お金持ってない。荷物、全部落としてきちゃったから」
「いーよ、オレが払う。元々そのつもりだし」
風呂場へ向かい、ザッと汗を流してからふと思い立って彼女を呼んだ。一度呼んでも来なかったから、タオルを片手に風呂を出た。彼女は慌てた様子でオレのもとへ駆け寄ってきた。
玄関の方から。
「何してたの」
彼女の目が、俄かに泳いだ。
「……玄関の方で音がした気がして……怖かったから」
そう言って、濡れたオレの身体に身を寄せてきた。
「そっか。なんでオレんとこ来なかったの?」
「……ごめんなさい」
可哀想に、余程怖いのだろう、声が震えていた。
「次からはちゃんとオレんとこ来なよ? オレが全部、何とかしてやるから」
頭を撫でてやり、笑い掛ける。
「じゃ、服脱いで」
見上げた顔は、間抜けなくらいにキョトンとしていた。
「風呂。オレの頭、洗って」
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