…
少女が向かった先、それは綺麗に彫られた鏡
埃だらけの宮殿なのに
鏡だけはくっきりと姿を現していた
少女は重ねた、自分と同じ姿の手を……
同じ姿、頬を重ねた
“あなたは誰ですか……?”
喋っていないのに 誰なのだろう
私の知らない 誰かだろう
“あなたこそ……”
私は返した その問いかけに
綺麗な鏡 全身を 一段と美しく
向こうに居る私は頬を重ねてる
“おいで……”
向こうの私は私を誘惑する
“行かないわ”
断ることにした 引きずり込まれたくない
“向こうの世界はいい世界”
そう言って 向こうに居る私は動作を変えた
手をさしのべて笑う、私が居たのだった……
私はその手を取った
この世界を知りたくて……
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