その身に纏う、私と同じ萌葱の忍装束。
薬草まみれの中から垣間見える明るい色の髪。
見たことがあるような気が…、
「ぜ、善法寺伊作先輩!!」
水色の子と瑠璃紺の子が彼に駆け寄っていく。
ああまた薬草が舞い上がって……って、そうではなくて。
「……伊作、君?」
善法寺伊作…ど、同級生で同じ組のあの彼ですか!
薬草まみれなのと、意識がとんでるらしく口を開けて間抜けな顔してますけど確かに見覚えがあります。
姿を見るのが軽く一年ぶりくらいですけれど…彼はあまり変わっていませんねえ。
流石は六年生、棚が倒れる前に腕で頭を庇っていたらしく、思ったよりは大丈夫そうです。
下級生二人は意識のない伊作君の周りであたあたとしてますがそこまで心配しなくてもよさそうですよー…と、声をかけたいのですが警戒されてますからね、控えます。
まあ、これが先輩後輩というものなんでしょうねえ。
改めて保健室の中を見回すと、奥にある衝立の向こうに布団が敷いてあるようだった。
なるほど、お粥が溢れていたのは誰かが寝ているからですね?
んー本当は伊作君も布団に寝かせたいんですが、無闇に動かしても良くないでしょうし。
とりあえず出来る片付けからしたほうが良いですかね?
「分かるものから薬草を片付けてくれないかな?私も出来る限り手伝うから」
「…っはい」
瑠璃紺の子が少し不服そうに頷いた。
…大丈夫ですよ、この反応にも慣れてきましたから…。
伊作君の側に座り込む水色の子の横に膝をつき、もう一度彼の顔を覗き込む。
頭を庇った腕に多少の擦り傷がありますねえ…足なんかは見た感じ痛めたようにも見えませんが。
首筋に触れて脈も診てみますがおかしな感じはしません。
まあ素人の見立てですからあまりあてになりませんけど。
まずは埋もれているのも良くないですし、彼の回りから片付けましょうか。
それにしてもどうして薬棚が倒れたんでしょうか…確かに軽い作りになってますけど、どんな衝撃が加われば倒れるまでに至るんでしょう?
きっと下敷きになった伊作君に何かがあって倒れてしまった、というところでしょうね。
そんなことを考えながら顔回りの薬草をいくらか払っていると、彼の瞼が微かに震えた。
「……んんっ…」
僅かに身動ぎして、徐々に目を開きました。
ぼんやりとしていた視線が段々しっかりしてくると、私にかち合い見開かれる瞳。
あれですよね、幽霊見ちゃったーってやつですよね?
もう驚きませんよ、私。
「久しぶり伊作君。痛いところはないかな?」
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