何か言いたそうな紺藍の彼の視線を流し、再び伊作君の元へ。
見れば下級生二人に支えられながら上半身を起こしているところだった。
もう起き上がっても大丈夫なんですねえ、流石は忍たまです。
「大事ないようで良かったね伊作君」
「あ、実継。棚を戻してくれたのは君なんだろう?ありがとう、助かったよ」
伊作君の笑顔は実に屈託なく素直な彼の性格が表れていると思う。
それに先ほどまでどこか戸惑っていたようでしたが、今は何やら朗らかな顔をしていますねえ。
…幽霊に吃驚していたんですよね、わかっています。
「あの、聞いてもいいですか?」
「どうした?伏木蔵」
水色の子…伏木蔵と呼ばれた子がずずっと私に近づいてきた。
……なんだか顔色が悪いというか、顔に影がありますねこの子。
「貴方はお化け長屋の建穂実継先輩なんですか?」
「ああ。私は間違いなくあの部屋の主、建穂実継だよ」
ド直球で聞かれたってもう動揺しませんよ!
私が答えると彼の目が輝いた。
んー好奇心旺盛なんですねえ、普通は怖がりそうなものですけど。
現に瑠璃紺の子は「げっ」とでも言いそうな顔ですしね。
「じゃあどうして建穂先輩はお化けだなんて言われてるんですか?」
「それは…かくかくしかじか」
御使いのことやらをかい摘まんで話せば伏木蔵君は納得してくれたようだ。
しかし変わった話をしているわけでもないのに伏木蔵君の目は輝きを増すばかり…。
「すごいスリルとサスペンス〜」
爛々とした瞳を向けられるとなんだかこそばゆいですねえ。
…しかし、スリルはわかりますけどサスペンスの要素ありましたか…?
「それより此処を片付けないと。伊作君、悪いけど薬草を見分けてくれないか?私が棚に戻すから」
この惨状からとっとと脱出しないといけませんからね。
私はあまり薬草には詳しくないので、動けない伊作君に見分けてもらえば片付けらいはできます。
なんて思っていると、伊作君がきょとんとした様子でこちらを見てきた。
それから何に気づいたのかハッとして眉尻を下げた。
「でも実継は帰ってきたばかりだろう?手伝ってもらうなんてわるいよ」
「そんなことない。私だって忍たまの端くれ、体力気力共に問題ないさ」
そう言ったものの、伊作君は渋っているようで表情が冴えない。
んー…とっとと片付けないと保健室が機能しなくて困ると思うんですがねえ。
何と言えば納得し………あ。
私、良い役を持っていましたっけ。
「これは支援委員会委員長として、手伝わせてもらうよ」
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