「「「支援委員会?」」」
きょとんとした顔が3つ。
おまけに驚いたようにこちらの様子を伺う紺藍の気配。
私も進んでこの名前を使う時が来るとはつい先ほどまで思っていませんでしたよ。
現に今もそんなに良い気分ではないけれども。
「そう、支援委員会。先ほど学園長先生から拝命したばかりだから知らないのも当然だよ」
「学園長先生から?その、支援委員会って何をする委員会なんだい?」
唖然とする彼らに学園長先生からの有難いお言葉をそのまま伝える。
反応は大体一緒で、また学園長先生の思いつきなんだ…といった様子。
誰しもそう思いますよねえ…当事者たる私もまったく同じです。
「具体的に何をするかは私に一任されているから問題はないよ。さ、片付けを始めよう」
ここまで言えばもうやらせてもらますよね?
呆気にとられたような伊作君が頷いたので早速作業開始です。
下級生二人も慣れた手つきで薬草を仕分けつつ棚へと戻していきます。
まだまだ判別のつかない薬草もあるのか、そこは伊作君に確認をしながら作業をしていきます。
途中何度か何もないところで転びそうになったり、棚にぶつかりそうになる彼らの手助けをしつつ私も薬草を仕分けていきます。
ここの委員会の子たちはそそっかしいんですかねえ…特に慌てた様子があるわけでもないんですが。
伊作君も同じ組ですから授業などで様子を見ることはありますが、たしかによく落とし穴にはまったりしていましたけれど…似たもの同士が集まってるってことですかね?
そうして片付けがなんとか終わりを迎えた頃に新野先生が保健室へ戻ってきた。
先生は私の姿を見るなり心底驚いていて私のほうが驚きました。
しかしそれも最初だけで、いつもと変わらぬ暖かな笑顔で「おかえりなさい」と言ってくださった。
おかえりだなんて、久方ぶりに聞きました。
最近は帰ってきても誰とも会わないうちにすぐ次の御使いへ出てしまっていましたから。
うっかり手元の薬草を落してしまいましたがこればかりは勘弁してください…私だって普通の人間ですから。
「っ実継!」
「ん、どうした伊作君?」
「おかえり実継っ!!」
急に大きな声で呼ばれたと思ったら伊作君が妙に力を込めて言った。
ど、どうしたんでしょう急に…。
何やら必死に声を出したような伊作君の姿に下級生二人も驚いているようです。
私も驚かされましたが、それと同時に胸に暖かいものがじんわりと広がるように思えてきました。
そうですよね。
ここは私の帰ってくるべき唯一の場所。
おかえりと迎えてくれる人がいる場所なんですよねえ。
「……ただいま」
バタバタバタバタッ
「遅くなりましっ…わあっ!!」
なんだかしっとりとした良い空気が漂う中に響く慌ただしい足音。
それと共に開け放たれた保健室の戸。
駆け込んできた少年の足元の、トイレットペーパー。
……お分かりいただけましたか?
砲弾のように飛び込んでくる彼の目の前には、私。
避けるなんてことはできませんでしたので、腹にめり込むんじゃないかと言う彼をそのまま受け止めました。
「っっ大丈夫…かい?」
「えっ…は、はい!」
顔をあげたこの水色の彼、見覚えがありますねえ……ああ、
「貴方は六年は組の建穂実継先輩!」
「君は一年は組のよい子だね?」
名前覚えていてくれたんですね、嬉しいことです。
こんにちはーと元気よく言われてこちらも笑顔でそれを返します。
……腹がぴくぴくしてますけど表情に出ないように堪え忍ぶ、これもまた忍たるもの当然です…痛いですけど。
「建穂先輩はどうして保健室にいるんですか?」
「穴に落ちていた三反田君が怪我をしていたから連れてきたんだよ。君は?」
「あ、私は一年は組の猪名寺乱太郎です!保健委員の当番があると思って来たんですけど…」
いなでらくんですね、覚えておきましょう。
彼も保健委員なのですかーなかなかいろんな子がいるんですねえ。
そんな猪名寺君、周りを見まわして言葉をすぼめた。
どうしたんでしょうか?
「あれ、乱太郎今日当番だっけ?」
「いえ、今日は僕と伏木蔵のはずです」
確かめたのは伊作君と瑠璃紺の子。
おっともしや勘違いしてここに来たんですかね?
それはまた残念でしたねえ。
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