……勝負とは、一体何の勝負のことなんでしょう?
一年は組の子達は随分と慌てた様子で騒いでいますけど、もしかして実技での勝負ってことなんですかねえ?
目の前の留三郎君はどうにも真剣そのものなんですがね…。
確かに私の記憶が正しければ、留三郎君は面倒見が良くていて好戦的な性格だったはず。
勝負を挑むことが日常的にあってもおかしくはない印象ですけど。
しかし今まで私は挑まれたことがありません。
それにどの話から勝負を連想したのか、私にはまったく分からないんですが。
「今からではないだろ?」
「無論、今からだ!」
い、今からですか!?
夜は忍のゴールデンタイムとは言いますけど今からって急すぎやしませんか?
しかし私の返答なんて待っていないのか、留三郎君は私の分の食器まで全て片付けてくれました。
とっととやろうってことですか…?
「先輩達を止めなくていいのかな?」
「だって食満先輩から勝負を挑んだんだよ?」
「確かに。学園一の武闘派の食満先輩のことだから今さら言ったって聞かないかも…」
「それに何処か壊したって用具委員長である食満先輩が直してくれるよ」
「それもそうだよねー」
へえ、留三郎君は用具委員長なんですか。
そんなことすら知りませんでしたよ私。
……それか忘れていたんでしょうか?
ともかく今すぐにと言うのは正直気乗りしません。
体力的には問題ありませんけどね?
やっぱり今日のところは帰ってきたばかりなのでゆっくりしていたいんですよ。
三反田君のことも心配ですから様子を見に行きたいですしねえ。
「さあ行くぞ実継!」
「留三郎君……」
がっしり腕を掴まれ勢い良く立たされました……なんだかもう、行くしかないという雰囲気なんですか!?
私の意思は…?
まだ私一度も良いとは言ってませんよね?
なにやら一人で喋ってますけどね、留三郎君。
私がやるやらないを言い出す時間くらいくれたっていいんじゃないですか?
…私、怒ってもいいですよね?
律儀に部屋まで連れてきてもらいましたので、遠慮なく愛刀を手に取り外へ。
お互い接近戦型のようですしそこまで広い場所も使いませんので私の部屋の前を使うことに。
何故だか着いてきた一年は組の子たちは私の部屋の縁側で見ているように言っておきました。
万が一があってはいけませんからね。
尤も?近くに上級生がいるようなので心配はないと思いますが。
食堂であれだけ騒いでましたから誰かしらの耳に入ってもおかしくはないと思いますけれどね。
見て面白いものでもないと思いますけど…。
とりあえず、とっとと終わらせたいんです私。
「勝敗は?」
「どちらかが"参った"と言うまでだ」
なるほど簡潔でいいですねえ。
お互いに距離をとって向かいあい、静かに時を待ちます。
焦ったりしたら何にもなりませんからここぐらいは慎重に。
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