んーせめて名前が思い出せないでしょうか…紺藍を着ているというと、五年生ですからひとつ下の学年ですよねえ?
顔立ちも整った方ですし、大きめの瞳が印象的でした。
加えて忍たまとしても優秀そうですし……そんな知り合いが私にいたんでしょうか?
「俺は…助けてもらった時からずっと、貴方の事を忘れた日はありませんでした…」
た、助けた?
私が彼を?
人助けだなんてあまりしたことないと思うんですが…私何をしたんでしょう?
御使い先でたまに厄介事に巻き込まれてしまうことはありましたけどねえ。
まあ悪意のあるものには鉄拳制裁なんてこともありましたが…それがはたして人助けだったのかと聞かれると微妙なことろです。
すると彼はつらつらと事情を話始めました。
私が起きていることに気づいているんですね。
話を聞いたところで私もようやっと思い出しましたよ!
前に不穏な動きをしているという城の調査と場合によっては破壊を命じられていた御使いの時のこと。
彼も同じように調査を依頼されていたそうですが、運悪く城の忍に見つかり窮地に追い込まれていた所を私が助けた…らしいのですがね?
ちょっと違う気がするんですけども。
確かに城の忍とは戦いました。
しかしその大半は目的を同じとしていた別のプロ忍者集団が片付けていたんです。
どこの忍だったかまでは今すぐ思い出せないんてすがね…不甲斐ない。
だから彼を助けたというのは恐らくそのプロの忍者集団の方だと思います。
私は自分の身を守ることや武器類の破壊を専らやっていましたからねえ。
彼の誤解を解かねばなりませんね…私のような普通の忍たまを命の恩人だなんて思っていたら可哀想です。
「貴方に足蹴にされたとしても俺はっ…貴方の力に、なりますから…」
あの、だから誤解なんですよ?
そんなに感情込めて言われても私ではないんですよ貴方の命の恩人は。
なんでこんなに思い込んでいるんでしょうか…私だという確証があるんですかねえ?
いやでも、私でないことは確かなんですって!
「…おやすみなさい、実継先輩」
………ああっ、言おうとしていたら行ってしまいました。
目を開けて部屋を見回しても勿論誰もいません。
外も明るいですね…もうすぐ皆さん起きてくるでしょう。
「…これは参りましたね」
私まだ彼の名前すら知らないんですよ…困りましたね。
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