おはようございます。
正真正銘、朝になりました。

昨夜のことは……とりあえず、また彼に会ったら改めてお話しさせてもらって誤解を解くことにします。
ぐだぐだ考えたって何にもなりませんからね。
さて、さっさと身支度をすませてしいましょう。


私の部屋から井戸までがこれまた少し距離があります。
その為なのか私が使う頃にはあまり他の生徒がいないんです。
今日は休日ですし、こんなに早起きする人もいないでしょうから…また井戸独占になりそうですねえ。

なんて思っていると井戸端に人影が。
おや、誰でしょうか…寝巻きで髪も束ねてませんから何方か余計に分かりにくいですね…。

ああ、でもここは六年長屋ですからあの髪色をしているのは彼しかいませんよね?


「おはよう、伊作君」
「おはよ…え、実継っああっ!?」

あ、背中から声をかけてしまったからか伊作君が井戸から引き上げていた釣瓶を落としてしまいました…驚かせてごめんなさい。
しかし朝から伊作君に会えて丁度良かった。

あたあたと慌てる伊作君に代わって釣瓶を引き上げつつ、私は三反田君の様子を聞いてみました。
昨日は結局のところ三反田君の様子を見に行けませんでしたからね、心配していたんです。

伊作君によると、三反田君の足の怪我は大したことはなかったようでもう歩けるんだそうです。
それなら良かった…やはり一日でも体が動かせないと不安になりますしね。

ほら、忍は体が資本ですから。
鈍った体だと有事の際に動けなくて困ってしまいますからね。


「そういえば、昨日留三郎と手合わせしたんだろう?」
「ああ、そうだけど…伊作君はあの場にいなかったよね?」

「うん。でも僕留三郎と同室だから、首の怪我のことで色々と聞いてね」

あっそうでした留三郎君の首もと!
微かに切ってしまったんでした…あの後すぐに立ち去ってしまいましたからよくよく話もしていませんでしたよね私。

「っ留三郎君の怪我は?痕は残らないかな?」
「え、あのくらいならすぐに治るし痕も残らないと思うけど…」

良かった……首の傷なんて良いものではありませんからね。
本当にあれはうっかり力みすぎてしまいました…誓って故意ではないんですよ。


なんて談話している間に身支度も終わってしまいました。
どこでも急ぐ癖がついてしまっているのでついつい手早くなってしまいます。
ご飯食べる時までそうなってしまうので直したいんですよねえ…美味しいご飯は時間をかけて噛み締めたいじゃないですか!


「ではまたね、伊作君」
「え、あのっ実継!」
「ん?」

「また、御使い…行くの?」

ああ、私の姿が朝から学園にあったことが珍しかったんですかね?
そうですよね…私は学園にいないのが当たり前になっていましたから。

「いや、もう御使いには行かない。これからは学園にいるよ」

良ければ医学のこととか教えてほしいですね、伊作君に。
ほら、新野先生に教わるのもいいんですが折角なら同級生同士でお互いに学んでいきたいじゃないですか!
なんて思いも込めてにっこり笑って見せてから井戸端を立ち去りました。

一人ぼっちじゃない井戸もいいですね!
時間があっという間に過ぎるだなんて勿体無いようで贅沢なようでもありますよねえ。


これは良い一日になりそうです。


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