声をかけると案外と素直に私の前に姿を現しました。
見た目からはどこかの城の忍ともフリーの忍とも判断がつきませんねえ。
なんとか捕獲できればいいんですが…それができるようにも見えません。
隙のない、場慣れした忍…といった雰囲気です。
相手の忍も武器は刀のようですね。
腰に差した刀には手がかけられていますから…勿論のこと戦うつもりなのでしょう。
それならここは真っ向勝負といきましょうか。
ザッ
誰かの足音を合図に飛び出し互いの刃が交われば後は如何に太刀を振り隙を探るかになります。
相手も刀の振りが速い…少しでも気を抜けばたちまち切り伏せられてしまいそうです。
やはり手練れの忍ですね…私では何ともしがたいかもしれませんよこれ。
しかしここは上級生の意地、それに学園長先生曰の御披露目も兼ねていますから簡単には退きません。
何度か刃を交えていると、突然で相手の姿が視界から消えました。
っしまった何処に…ん?
消えたのは本当に一瞬で、次の瞬間には再び視界の中へ。
ですがその腕の中には井桁模様の空色が。
「っ!?」
「武器を捨てろ」
古典的でいて実に効果的な手段をとりましたね。
一瞬の隙を作ってしまった私に落ち度があるとしか言いようがありませんがなんとも腹立たしい限りです。
だからといって、このまま素直に引き下がりはしませんけどね?
相手から目をそらすことなく太刀を鞘へとゆっくりと戻し緩慢な動きでそれを地面へと置きます。
やはり投げるようなことはできませんよ、大事な愛刀ですからねえ。
相手も同じく刀を愛用しているようですからその辺りは多目に見てくださいますよね?
本来なら遠くに投げ捨てなければいけませんけれど、私の武器は大太刀。
手に取り抜刀するまでどうやっても時間がかかりますから、近くに置いたところで問題無いと判断されます。
しかしそこは忍たるもの、武器がなければ戦えないだなんて言いっこありませんよねえ?
私の武器はなにも大太刀だけではありません。
寧ろ大太刀が無いからこそ最大限に発揮されるものがありますよね?
ただこの手練れの忍にそれが通じるかどうか…少し厳しいかもしれません。
ですが考えるだけ無駄です、今は時間が惜しい。
早く、あの手を退けてやらなければいけませんから。
この間合いなら…十分です。
隙は…そう、本当に一瞬あればいい。パンッ
「っ!」
「ほら、残念でしたね」
徐に両手をあげ降参の姿勢をとったところで勢いよく両手を叩き、僅かに怯んだ瞬間に全速力で相手の背後に回り込み、首元へクナイを突き付けてやりました。
んー見込み違いだったんでしょうかねえ…まさかこんなにあっさり引っ掛かるとは思ってなかったんですが。
まあ、結果良ければ全てよしとしましょう!
脱力する相手をから一年生を逃がしてやり、その後はぐるぐると縄で縛り上げれば任務完了です。
もちろん他の二人もお縄についていただいてますよ?
「これで宜しいでしょうか、学園長先生」
「うむ、ご苦労じゃった!」
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