学園長先生の思いつきによる迷惑…基、突然の全校集会は私が侵入者を捕獲したことで先生たちが尋問を行うこととなり、解散になりました。
久々に朝からたくさん動きまわりましたし、少々身体が驚いていますねえ。
十五歳と言っても身体は酷使すれば疲れるのは当然ですから。

とりあえず土煙やらなんやらで煙いので着替えますか…本来なら今日は休日ですし!
ついでに町まで出て買い物するのもいいかもしれませんねえ。
やはりこれからじっくり学園で勉強するとなると入り用になるものも多いですし。

……今まで御使いに行きすぎてて部屋に何にもないだなんてそんなことありませんよ?
ほ、ほら三反田君を手当てするくらいのものはありましたしね!


「あ、あの!」
「ん?」

町へ出る言い訳を考えていたら後ろから声が。
振り返ればそこには井桁模様の空色が四人。
おや、先程の忍に人質にされた子がいますね。
それに他にも中に見知った子が一人いるじゃないですか。

「鶴町君、昨日ぶりだね」
「こんにちは建穂先輩」

昨日保健室で会った鶴町君が相変わらず顔に影を落としながら笑顔で挨拶してくれました。
…気づけばここの子達みんな顔に影が落ちてるじゃありませんか!
調子が悪いようではありませんし…彼らの個性なんでしょうか?

「あの、僕初島孫次郎といいます…さっきは助けてくれてありがとうございました…」
「いや、お礼を言われるようなことではないよ。それより何処か痛いところはないかな?」
「大丈夫です…」

……声が元気そうに聞こえないんですが恐らくは大丈夫なんですよね?
同じ一年生のは組の子達と比べてしまうとあまりにも落ち着いているといいますか、元気がないといいますか…ちょっと心配になってしまいます。まあ私が心配したところで詮なきことですが。

「良ければみんな名前を教えてくれないかな?」

にっこり言えば残る二人も名前を教えてくれました。
二ノ坪君と下坂部君ですね。
顔に影があってちょっと暗く見えてはしまいますが笑顔の可愛らしい子達ですねえ。
やっぱり、後輩って可愛いものです。
屈んで目線を合わせつつ、ちょっとだけ頭を撫でてみました。

「えっ、建穂先輩…?」

……しまった、撫でる理由が見当たりません!
なんの意味もなく撫でてみただけなんですが…そのまま伝えたらちょっとおかしな先輩と思われてしまうじゃありませんか!!
なにか理由を……うーん…。


「おーい孫次郎!大丈夫だったかー!?」


ん?なにやら呼ばれてますね初島君。声のする方を見やれば紺藍の彼が小走りでこちらにやってきました。
おや、知らない子人ですね。
……まあ唯一知っている五年生の子も名前は知らないんですがね、私。

「あ、竹谷先輩…」

竹谷君、と言うんですね彼。
ともかく良いときに来てくれました竹谷君!
然り気無く初島君の頭から手を退けることができましたからね。
こっそり感謝しておきます、ありがとう。

「大丈夫だったか?怪我してないか?」
「大丈夫です…」

心なしか初島君の表情が柔らかいのは彼と親しいからですかねえ?
やはり知らない先輩と一緒にいるのは緊張したんでしょう。
それが先程荒っぽく立ち回った相手なら尚更。

きっと助けられたから声をかけなければと思って声をかけてくれたんでしょう。
しかしつい先程紹介された挙げ句に侵入者相手にチャンバラした人間ですからねえ…自分でやっておきながら、これは印象最悪じゃありませんか!
お披露目という名目上派手に動き回ったのは確かですが逆効果でしかなかったということですよね…恨みますよ学園長先生…。

私もなんとかもう少し後輩の子達と仲良くなりたいものですが…そういった機会が巡ってくるんでしょうか?
そもそも私仲良くできるんでしょうか……上っ面ならどうにでもなるんですがねえ?
しかしそんな関係は御使いだけで十分です。
思い思われる先輩後輩になりたいじゃありませんか……道程は長く険しそうですけどね。


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