私服を着るのも随分とご無沙汰してました。
やはり御使いでは制服が多かったですし、潜伏しているとなると自然に私服は避けていましたからね。
さて…髪も結い直したいところなんですが。
実は私の髪、ちょっとした癖っ毛でして。
結い上げるのに苦労するんですよね…私自身あまり器用ではないので毎回苦労しているんです。
でも折角のお出掛けですからここは気分も良く行きたいと思い自らの髪と格闘すること早四半刻…。
「……纏まりませんねえ…」
ちょろちょろと細かい髪を掬いそこなって綺麗に纏まりません。
んー今朝は珍しく綺麗に出来たんですが……奇跡だったんですねきっと。
かといって髪を降ろして出掛けるわけにもいきませ……あ。
それならいっそのこと結わない選択肢があるじゃありませんか!
恥なんて掻き捨てですね、やるしかありませんよ私!
全ては明日からの学園生活を満喫…ではなく快適に過ごすための買い物の為です…腹をくくりましょう。
そうとなると道具は……ああ、これくらいあれば大丈夫でしょう。
こういったものは何かと必要でしたから粗方揃えておいて良かったです。
いやはや、腕が鈍りきってなければいいのですが…。
あーまあ、こんなものでしょうかね。
元々の体格は誤魔化しきれないものもありますけど、許容範囲ではあると思います。
二〜三年前ならもっとらしくなれたんですけど、育ちすぎましたかね私。
しかし自分でも少し突飛な考えだとは思っていますよ。
髪を結い上げたくないから女装だなんて。
でも悪い選択ではないと思うんです。
買い物は断然女性の方がおまけが貰えますから!
…学費を稼ぐ生活が長かった為なのか少し倹約癖がついてましてね?
おまけとか、そういったものに惹かれやすいというか、敏感になっていまして。
いやでも、学費を納める必要が無くなったからとはいえ節約が悪いなんてことありませんよね!
貰えるものは貰った方が良いにきまってますから!
……そうやって自分を納得させたいだけなんです。
さて支度も整いましたから出発しましょうか。
って、あー…そういえば外出届を貰わなければいけないんでした。
毎回御使いの時には貰ったりなんてしていなかったんですが、普通の外出となるとそうはいきませんよね?
先生方は侵入者の取り調べをしていらっしゃいますけれど、何方か手の空いた先生に許可がいただけないでしょうか?
んーあまり学園の中をこの格好で歩き回りたくはないんですが…いえ、既に覚悟を決めた身です。
正々堂々と先生を探しましょう。
私の部屋からだと六年長屋を突っ切って行くのが早そうです。
まあ六年生ならどなたに会ってもどやされるようなことにはなりませんからね。
女装もまあ…鍛練のうちということにしておきましょう。
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