屋根裏を使いながら気配を追えば、彼は教室にいるようでした。
五年生の教室ですか…私唯一入ったことの無い教室ですねえ。
何せ五年生にあがってすぐに長期で遠方への御使いに出されてしまいましたから。
それはさておき。
とっとと時間のことなど聞いてしまいませんと、皆さんの授業の方が始まってしまいますからね!
……一応、一声かけてから降りましょうか。
「失礼するよ」
「…え、うあっ!?」
は、背後ではなく真正面に降りたのですが…それか声が小さくて聞こえなかったんでしょうか?
驚かれてしまって私の方が驚いてしまいました…。
「おはよう、驚かせてごめんね」
「い、いやその…おはようございます建穂先輩」
若干しどろもどろになりながらもぺこっと御辞儀を返してくれる竹谷君はやっぱり礼儀正しいですねえ。
早速時間のことについて伺えば竹谷君はそういえば言ってませんでしたなんてちょっと恥ずかしそうにしながらも諸々教えてくれました。
午後一番から作業になるそうで、直接生物小屋の前に集合すれば良いそうです。
大体思っていた通りではありますが確認できて安心しました。
「あのー建穂先輩、もしかしてこれを聞くたためだけに教室に?」
「そうだけど…何か不都合だったかな?」
恐る恐る様子を伺うような竹谷君…まさか此処まで聞きにくるなんて非常識でしたか!?
そもそも六年が五年の教室に来たことが御法度だったんでしょうか…。
それこそ私が不在の間に新しい取り決めがあったとしてもおかしかはありませんよねえ。
私が浅慮でした…忍たるもの、もっとよく情報収集に努めるべきでしたね。
「え、いやーそんなことはないですよ!寧ろ俺から連絡しとかなきゃいけなかったことですし…」
「いや、聞かなかった私も悪かったから。じゃあ午後にまた」
後輩に気を使わせてしまいました…やはりまだまだ先輩といった風にはいきませんね。
頭冷やしませんと…ちょっと浮かれすぎていました。
屋根裏に戻りそのまま部屋へと向かう最中も、竹谷君に申し訳ない気持ちでいっぱいで…もっと配慮の出来る忍になりたいものです。
なんて思案いっぱいだったからでしょうか…眼下から放たれる殺気に気付くのが一拍遅れてしまいました。
「誰だ!」
「っ!!」
気付くのが遅れたもののなんとか足元に放たれた手裏剣は避けることが出来ました。
それからも矢継ぎ早に放たれる攻撃を避けつつ、自分の部屋ではなく庭へと通じる方へ。
こんな状態で自分の部屋に戻るだなんて自殺行為ですからね。
相手の狙いはなかなか的確でひやひやしっぱなしです…まったく容赦も隙もない。
おまけにこの攻撃…相手は二人いるようですね。
片方はクナイですが、もう片方は何か別の投擲武器のようですし。
それにしてもクナイの方は余程力があるのでしょうか、刃が深々と刺さるにもかかわらずそれをあっさりと引き抜いてはまた突き刺してきますから…なんて瞬発力なんでしょう。
もう片方の投擲武器…これは縄縹ですね?
こうもあっさりと私を狙ってくるあたり、相当の腕前の方とお見受けします。
私の手持ちはクナイと手裏剣数個と小刀と…あれですね。
外まで行ければなんとか手だてがありますから逃げ切らねば…!
ガタンッ
縁側に通じる部屋へ降りるとすかさず武器が飛んで来ました。
一寸でそれを避けてそのまま庭へと転がり出たところで隠し持っていた小刀を二本を抜刀し、片方は勢いのまま相手へと投げつけました。
「なんの!」
威勢の良い声とともに鈍い音を立て弾かれてしまいましたがこれも分かり切ったこと。
武器を弾いた相手に向けて間髪入れずにもう一つの小刀も投げつけます。
これはもう一人の武器に阻まれあえなく撃沈。
まあ…それを狙ってのことでしたから問題なんてありませんけどね?
相手が私の武器を弾いている間で、背中に忍ばせていた脇差を抜ききることができましたから、目標達成です。
さて、ここからが本番ですよ?
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