ソーダアイスと溶けた脳

暑い暑い日射しに焼かれながら、私は見慣れない道のりをてとてと歩いていく。太陽にこんがり焦がされながら、私は暑い中こんなところまで呼び出した小中学校以来の友人を恨めしく思った。

「暑いの苦手なこと、知ってるくせに……」

胸元をパタパタと扇ぎながら思わず恨めしい言葉が口から零れる。口に出した途端、更なる暑さが私を襲ってきて、からっからに渇いた喉をゴクリと鳴らす。そろそろ限界が近い。
へたる足をずるずると引き摺りながら、這うようにして、一歩、また一歩と足を踏み出す。500ミリリットルのお茶なんて家出て30分しないうちに消えてしまった。電車を乗り継いでいきながら、近くのコンビニか自販機で買えばいいか、なんて呑気なことを考えながら待ち合わせ場所まで行こうとしたらこの様である。降り立った駅にも歩いてきた道のりにもコンビニどころか自販機すら見当たらない。
大体、どうして家から遠いこの場所に呼び出されたのかがさっぱりわからない。私もあいつも学校はこの辺じゃないのに。

「暑い、よぉ」

少しでも体温を下げようと舌を出してみたが、犬と違って人間は簡単に出来ていないらしい。ちきしょーと悪態をつきながらコンビニというオアシスまでの道のりを一歩ずつ踏み出した矢先に唐突に別のオアシスが現れた。
自動販売機、だ。
嬉しさのあまり、だらしない笑みを溢しながら私は自販機の前に立ち尽くす。

「……どれにしよーかなー」

こんな暑い暑い日にはスカッとするものが飲みたい。とすると、ソーダとかコーラとか。炭酸バリバリきいてるものを飲んで、この暑さをスカッと吹っ飛ばしたい。どっちにしよう、ソーダか、コーラか。……ん、やっぱりコーラ一択に限るな。
そう思いながらうんと頷いて、ごそごそと鞄を探る。お財布どこにしまったっけな。

「すんません、いいですか」

「あ、すみません」

声をかけられて、自販機を占領していたことに気づき、お財布を探りながら慌てて退く。どこかで聞いたことあるような男の人の声だなとぼんやりしながら、お財布を探っていると、お目当てのものが指先に触れた。

「あった!」

ピッ、ゴトン

私がお財布を捜し当てるのと同時に、自販機から飲み物が落ちる音が聞こえた。
はっ、と顔を上げると、自販機で飲み物を買っていた男の人が少し驚いたような表情でこちらを見つめていた。……聞こえていたかな。うっわ、恥ずかしい。
少し気まずくなって、違うところに視線をそらそうとしたとき、私はまたもや声を上げてしまった。

「あーっ!」

コーラが、売り切れになっている。どうやら、男の人が先に買ってしまったらしい。そんな、ラス1だなんて……。がくりと肩を落とすと、男の人が気遣わしげに声をかけてくる。

「……大丈夫すか」

「いや、その、コーラ……」

「は?」

「なんでもないです」

初対面の人にコーラ強請るとかとんでもなく恥ずかしいことをしようとしている自分を制し、私は曖昧な笑みを浮かべる。暑さで少々おかしいことをしでかさないうちに、早く飲み物を買おう。

「コーラ」

「へ?」

突然、目の前の男の人が一言発したかと思うと、私の方をまじまじと見つめる。そんなに見つめられると気まずいんですけど、ってやっぱり、私この人のこと知っているような……?背はとても大きくて、私が見上げなくちゃいけないくらい。がたいもかなり良くて、肩幅なんかがっしりしている。それに深い緑色の瞳。どこかでみたことあるような、ないような……。
首をかしげながら、見つめ返すと、男の人は深くため息を吐いて、いきなり私の後ろ首元を広げると何かを服の中に入れた。

「きゃあっ」

冷たいっ!固い!なに!?
混乱した頭で少し涙目になりながら、男の人を睨むと、その人はふっと気分良さそうに笑う。
なんなの、私気分悪いんだけど!!

「それ、やるよ。貸しだからな」

深い緑色の瞳に嘲るような色を浮かべて私を映すと、男の人はそのまま立ち去ってしまった。
困惑した私を一人残して。

ゴトッ

背中に入れられたコーラが落ちて、地面へと転がっていった。



「ということがあったんだけど、気分悪くない?」

「それ、遅刻してきたことへの言い訳?」

待ち合わせの喫茶店で30分ほど待ち惚けしていた小中学校以来の友人――鴫野貴澄はにっこりと笑いながら私に言う。少しは申し訳ないと思っているけれど、それもこれもこんなところへ呼び出した貴澄が悪い。

「だいたい、何でこんなとこに呼び出したわけ?私と貴澄、家近いんだから近くに呼び出してくれれば良かったじゃない」

わざわざ電車で数駅離れた場所へ呼び出すなんて、面倒なこと私が嫌いだって知っているはずなのに。

「ごめんごめん、ちょーっと会わせたい人がいてさ」

そう言って貴澄は女の子たちが「きゃあっ」と色めき立つような笑顔を私に向ける。と言うか実際、私たちの周りに座っている人たちは貴澄を見ながらひそひそと話をしている。
……とても居心地が悪いんだけど、帰ってもいいのかな。
貴澄をじとっと睨むと彼は「ん?」と笑顔を向けてくる。小学校の頃から貴澄はやけに女子から人気があり、貴澄と仲が良かった私は度々嫉妬の視線を向けられた。中学の頃なんか貴澄ファンクラブが出来てて、とても煩かったのを覚えている。彼とは何故か小中通して仲が良かった。何でかはよく分からないけど、私が貴澄を恋愛対象として見てなかったし、向こうもそういう風に私を見てなかったのが大きいと思う。
そもそもあの頃の私には好きな人がちゃんといたし、その人も含めた上で貴澄と仲良くしていたのだ。

「佳音は今、岩鳶高校だっけ?ハルや真琴と一緒の学校だろ?」

「ハル?真琴?……ああ、七瀬に橘ね。うん、同じ学校だけど、クラスは違う」

貴澄からさらっと出た名前に首をちょっと傾げてから頷く。七瀬遙に、橘真琴。彼らとは中高と一緒だけれど、中学3年間一緒のクラスになることはなかったし、高校に入った今でもそうだ。顔見知りではあるけれど、仲良しではない。

「ハルと真琴、元気にしてる?この間、颯斗の通ってるスイミングクラブに真琴がいてさー」

べらべらと話はじめる貴澄の前でこれ見よがしに音をたてて、運ばれてきたアイスティーをすする。ささくれだった心を癒してはくれないが、いい感じに火照った体と渇いた喉を冷やして潤してくれる。

「佳音、聞いてるかい?」

「ねえ、貴澄。その話、ここまで来てしなきゃいけないことなの?用がないなら私帰るよ」

そう言って、貴澄を睨みつけると、貴澄は慌てたように「待って待って!」と言って、私の腕をつかむ。

「会わせたい人がいるって言っただろう?もうすぐ来ると思うからさ、もうちょっとだけ待ってよ」

「だから会わせたい人って誰よ」

「それは来るまでのお楽しみだよ」

そう言うと貴澄は妙に決まったウインクをこっちに投げてくる。それを無表情でかわすと、私はまた音を立ててアイスティーを飲む。
不機嫌になりながらアイスティーをずずーっと啜っていると、不意に影が差した。
不思議に思って、顔を上げると目の前の貴澄が「あ」という顔をしてから、ぱぁっと顔を輝かせる。

「わぁ、来てくれたんだね!」

慌てて後ろを振り向くと、そこにはさっき自販機で会った男の人がいた。先ほどと同じように深い緑色の瞳に私を映してじっと見つめてくる。私は思わず立ち上がって、男の人に向かって「さっきのコーラ男!」と指を突き立てて叫んだ。

「は?」

「コーラ、男……ぷっ、あっはははっ!」

男の人は馬鹿にするような表情を浮かべて、貴澄は私たちを見て爆笑している。何がそんなに面白いんだろう。ちっとも楽しくないんだけど。
貴澄はひぃひぃ笑いながら、私たちに言う。

「なんだ、二人ともさっき会ってたんだね!くくっ、佳音の言う男の人って誰かと思ったら、宗介か!あははっ」

「そう、すけ……?」

「チッ……久しぶりだな」

思い、出した。山崎宗介。彼は私と貴澄とそして凛の小学校の頃の友人で、

「相変わらず抜けたとこは変わんねえな、佳音」

私のライバルである。


「……」

「……」

いったい、貴澄は何が目的で、私たちをこんなところに呼び出したんだろうか。
宗介が来たとたん、貴澄は「颯斗のお迎えがあるからまたね!」と風のように去ってしまった。本当に何しに来たんだあいつ。
そして、宗介といえば空いた私の目の前の席にむすっとした顔で座っている。目の前にはコーラ。本当に昔からコーラ好きだよね……。
沈黙に耐えきれず、私は恐る恐る宗介に話しかける。

「えーっと……久しぶり、だね」

「……ああ」

「……」

……いや、そんだけかよ!
でも確かに宗介に面と向かって合うのは小学校以来だから、何を話していいのか私も分からない。中学時代に貴澄に連れられて、宗介の試合を見に行ったりしたけれど、宗介は私のこと気付いてなかったと思うし。
中学卒業と同時に宗介が東京の高校へ行ってしまったと聞き、貴澄とも高校は別れて、凛はオーストラリアに行ってから会ってないし、もうずいぶんと疎遠になっていた。宗介を最後に見たのは中3の最後の試合だから、もう、

「3年ぶり、か」

宗介の言葉に驚いて目を見張る。なんで、そんなこと知ってるの……?
驚いた様子の私に宗介は淡々と答える。

「おまえ、貴澄のやつと一緒に見に来てただろ、試合」

「知ってたんだ……」

宗介には何も気付かれていないと思ってた。宗介はいつも水泳と、それから親友の凛のことしか頭にないやつだから。
私はそんな宗介に嫉妬していた。
凛にとっての一番は水泳か、宗介で、宗介にとってもそうで、私がどんなに頑張っても凛の一番にはなれっこない。
凛はどんどん先を行って、小学校だって卒業する前に私に何も言わずに転校しちゃうし、オーストラリアにまで行ってしまった。
そんな凛を陰ながら支えて応援していたのは宗介だった。私がないものを宗介は持っていて、私がどんなに凛のことを好きでも敵わなかった。
そんな、幼心の嫉妬心。
昔のことを思い出して勝手に恥ずかしくなっていると、宗介がまた口を開く。

「お前、今でも凛が好きなのか?」

「……はぁっ!?」

何を言い出すのかと思えば、とんでもないことを言いやがった。宗介のこういうところは本当に苦手だ。

「な、何の話してんの?べ、別に凛のことなんてっ、」

「それ本気で言ってんのか?昔から凛以外のやつにはバレてるぞ、貴澄にも」

「…………」

屈辱である。よりにもよって一番バレたくないやつに、バレてたとか……。

「俺が凛と話してると噛みつきそうな目つきで睨んできたしな、バレねえ方がおかしいだろ」

宗介の言葉に何も言えずに黙り込む。淡い恋心を上手に隠せていたと思っていたのは私だけだったようだ。

「しかも、全然俺のこと覚えてなかったしな」

「い、いや、それはですね、その、」

宗介にじろりと睨まれてうっと言葉に詰まる。
だって、昔の宗介はもう少し小さかったし、可愛げあったし、私がこんなに見上げたり、話に困るような相手じゃなかった。
今の宗介はなんだか、とても、

「し、知らない男の人、みたいだから……」

宗介は少し驚いたような顔でこちらを見つめる。私は慌てて言葉を付け加える。

「だ、だって……!背は大きくなって、体つきもよくなって、あの頃と全然違うじゃん……声変わりだってして、迫力もあるし……中学時代なんてほとんど会ってないようなものだから3年でこんなに変わるなんて思わなかったんだもん……知らない男の人みたいで、変に緊張しちゃうし」

もごもごと言い訳がましいことを言ってから、ちらりと宗介の方を見ると、なぜかそっぽを向いて深くため息をつく。横から見える耳が赤いのは気のせいだろうか?

「いつまでも成長しないわけねえだろうが。大体、貴澄のやつだって大分変わっただろ」

「えー、そう?中学校3年間一緒だったし、よくわかんない」

そう言うと、宗介はなぜかイライラしたような怖い顔つきになる。え、何で、怒ってるの。

「それに高校に入ってからも貴澄と何回か会ってるしね。貴澄、相変わらずモテるみたいで、ムカつくよね」

あのピンク頭と女の子が好きそうな笑みを浮かべると私もイライラしてきた。思いっきり不機嫌な顔になると、宗介がとんでもない言葉を口にする。

「お前、今は貴澄が好きなのか?」

「はあああ!?」

今度は素の声が漏れた。思ったより大きかった声に慌てて口をつぐみ、咳払いをすると宗介に向かって言う。

「なんで、そう、なるのっ!?あいつのおかげで中学時代は苦労したんだからねっ!貴澄のファンクラブなんてものが出来て、その子たちが貴澄関係でもめると、毎回貴澄は私に押しつけようとするし……!高校入ってからは少しは落ち着いて、この間まで彼女いたみたいだけどね」

そして、どうせ私は貴澄と違ってフリーですよ。と心の中で自嘲する。
凛はオーストラリアでかわいい金髪の女の子に囲まれてただろうし、宗介は東京の学校でモテたに違いない。僻みながらそう言うと、宗介は呆れた顔をする。

「凛の方は知らねえけど、俺は水泳で忙しかったし、浮かれてる場合じゃねえよ」

「そういうところは昔と全然変わんないよね……」

凛も宗介も根っからの水泳馬鹿だ。でも二人とも振り返らずにまっすぐ自分の道を走っている。そんな姿に憧れる気持ちは私も変わらない。貴澄も羨ましいって言ってたっけな。

「今も水泳続けてるんだ?東京の学校?」

「……いや、今はこっちに戻って凛と一緒に泳いでる」

宗介は考え込むようにゆっくりと言葉にする。

「へ?こっち戻ってきてたの?いつから?てかなんで?」

「うるさい、落ち着け。……高3の初めくらいだ。凛と一緒にまた泳ぎたくなって、今はここの近くの鮫柄に通ってる」

「あー聞いたことある。水泳の強豪校でしょ?てか凛もオーストラリアから帰ってきてたんだ……」

全然知らなかったというように口をとがらせると、宗介は真面目な顔をして私に言う。

「凛は今、世界を目指してる大事な時期なんだよ。邪魔するなよ」

「するわけないでしょ。でも、そっかぁ……凛、あの頃の夢追いかけてるんだね」

嬉しくなって口元を緩ませると、宗介も同じように少しだけ口元を綻ばせる。
私以上に嬉しくて、凛の夢を応援してるのは宗介なんだと思う。あの頃はそんな宗介に嫉妬していたけれど、今は違う。凛のことを一番理解してる宗介がそばにいるのは私も嬉しいし、宗介が一緒に泳いでいるという事実も嬉しい。
小学校の頃から宗介は全然変わっていなかった。


少し話し込んでから喫茶店を出ると、太陽は大分傾いてきており、昼間よりはいくらか暑さが和らいでいた。駅まで送る、という宗介(多分この台詞私が言うべきなんだろうけどね……)と、のんびり歩いているとコンビニの前で突然宗介が立ち止まった。

「アイス食いてえ」

「買ってくれば?」

「ああ、頼んだ」

「何で私が買ってこなきゃいけないのよ」

「さっきコーラ譲ってやっただろ」

あれを譲ったとは言わない。嫌がらせをされたんだ。
そう言いたげに睨むと、宗介は何を勘違いしたのか、「コーラ味のアイスな」と注文を付けてきた。
仕方ない、久々に会った友人にアイスぐらいご馳走してやろう。私の寛大な心に感謝して欲しい。

「コーラじゃねえのか」

「なかったのよ、嫌なら食うな」

ソーダ味のアイスバーを二つに割って宗介に寄越すと、可愛くない文句を言ってきた。せっかく買ってきてやったのに、その言いぐさは何だ。
シャクシャクとアイスを食べながら駅までの道を歩きつつ、私はふと疑問に思ったことを尋ねる。

「そういえばさっき自販機のところで会ったとき、宗介、私のこと直ぐに分かったんでしょ?よく気付いたね」

「ああ、そりゃ好きだった女のことだから分かるに決まってんだろ」

「そっかぁ、そうだよね…………へ?」

さらりと言った宗介の言葉に頷いて――私は言葉を失う。今、宗介はなんて言った……?
思考が固まった様子の私に宗介は怪訝そうな顔をして、「もうすぐ駅に着くぞ」と言う。

「あ、うん……」

好きだった女って、えっと、それは、宗介は私のことが好きだったとか……?
ちらりと宗介の顔を見上げると宗介は何でもないような顔をしていた。
からかったんだろうか、ううん、そんな冗談でからかうようなやつじゃない。
じゃあ、もしかして、本当に……?
そこまで考えて私は一人で熱くなる。
好きだった、って言ったんだ。私が凛のことを好きだったのと一緒で昔の話だ。自惚れるな、他意はないんだから。
火照った顔を冷ますように冷たいアイスを食べながら、必死に自分に言い聞かせる。

「おい、何ぼんやりしてんだ、着いたぞ」

宗介の言葉にはっと気付くといつの間にか駅まで来ていた。

「……あ、ありがと。ええと、宗介は帰り大丈夫?」

「当たり前だろ」

それが不安なんだけど。まあ、大丈夫だろう。

「えっと……じゃあ、またね」

そう言い残して、駅に向かおうとすると、「佳音」と名前を呼ばれて宗介にぐいっと腕を掴まれる。

「?……どうかした?」

なにかあるのだろうかと、宗介をじっと見つめると、宗介は満足そうな笑みを浮かべてゆっくりと顔を近づけてくる。
固まって動けない私にキス出来そうなぐらい近くまで寄ると、宗介は私の耳元で囁いた。

「今も結構好きかもしれねえな」

低い声で紡がれた言葉の意味を理解する前に宗介はそっと私から離れると、じゃあなと一言だけ言って、去っていった。

今のって、今の言葉って、どういう意味なんだろう。
今も、結構好きって、それ、まるで、

「告白、みたいじゃんか……」

火照りがおさまらないのは太陽のせいだ。ドキドキするのは暑さにやられたせいだ。宗介の声が、顔が、頭から離れないのは、久々に会ったせいだ。
あの低い声で囁かれた言葉がぐるぐると私の頭の中を回って、脳みそが溶けてしまいそう。
いろいろなことが突然すぎて思考がショートしている。中でも、一番驚いているのは、宗介の言葉を嫌と思ってない自分の気持ちだ。これじゃあ、まるで、私も宗介のことを意識しているみたいじゃない……。

ピシャッ

水音がして慌てて手元を見ると、溶けたソーダアイスが地面に落ちて、足元を少しだけ濡らした。