「え!?上鳴って彼女いんの!?」

俺はたった今口を滑らしてしまったことを後悔していた。

「や、でもいるっつっても友達の延長みてぇなもんだし。キスとかも一回もしてねぇし。あ、そんなことより耳郎今日飯いかね?」
「いやこの流れで行くわけないじゃん…」
「くっそー!!言わなきゃよかった!!」
「こいつクズだ…」
「最低…」


バカみたいに誤魔化したこともあり、なんやかんやで話が流れてくれて助かったと心から思った。それくらい彼女のことを話したくはなかったのだ。それは独占したいとかではなく、あいつらに言ったように、本当に友達の延長のようなもので付き合ってるといえるのか怪しいくらいだからである。
それに何より今は、会わないまま疎遠になっている彼女より、側で楽しく話せる耳郎のことが気になっている。
「(それこそ最低なんだろうけど。でもまあ思春期だし、あいつも学校違うから仕方ねえって)」
なんて正統ぶった理由をつけて誤魔化した。



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「つーか上鳴もなんで耳郎なんだ?お前のことだからもっと麗日とか女子っぽいやつが好きかと思ってたけど」

「あ〜分かる。耳郎いい奴だけど友達としてっていうか、女子としては見れねえって感じだよな〜」


結局耳郎に振られてしまったこともあり、いつも通り切島と瀬呂の2人とファーストフード店で話すことになっていた。話すこともいつも通りくだらないことだったり学校のことだったり。そんな中急に切島が耳郎の話題をふってきたのだ。

「…なんつーか、誰かに似てる感じすんだよな。」
「誰かって誰だよ?」
「モデルとか芸能人とかか?つってもそんな詳しくねぇから分かんねえけど…」
「いやそんなんじゃなくてもっと身近な感じ…誰だろうな〜」
「何だそりゃ」

耳郎に関しては、誰か分からないけど誰かに似てる、側にいるだけで安心感のある誰かに、そんな感覚がずっとあった。それは初めて話したときからずっとだった。でもその誰かが分からないし、分かりたいとも思えずそんなにもやもやすることでもなかったので言われるまで気にしてなかったのだ。

「そんなことよりもっと別な話しようぜ!例えば、次店に入ってくんのは男か女か!俺当然女子な!」
「なら俺は男だ!」
「くだらねえ賭けすんなよ…ってお、早速客来たぞ」
「よっしゃ女子!!!ってあ…」
「あ?」
「…上鳴?」

くだらない賭けなんかするんじゃなかった。



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