店から入ってきたのは俺の彼女ーつっても名前だけ、な気もするけどーの小鳥遊彩夏だった。学校も学科も違うし、高校生になってから一人暮らししてるとかで全然会う機会もなかったから会話どころか見るのも久しぶりだ。それもあってなのか、向こうも驚いた顔をしていた。


「何?上鳴知り合い?」
「あー…いや、まあ、」
「…もしかして、例の彼女か?」
「え!?マジかよめっちゃ綺麗じゃん!!つか1人なら呼んでやれよ。俺ら帰るしせっかくだから2人で話してやりなって」
「は!?え!?」
「じゃーな!」
「また明日にでも話聞かせろよ〜!!」


流石ヒーロー科と言うべきか、こうと決めれば早い奴らで俺に口を挟む隙も与えずさっさと席を空けて帰ってしまった。もし彼女じゃなかったらどうするつもりだったんだよ。


残されたのは、気まずい顔をしているであろう俺と、何が何だか分かってないような小鳥遊だけで。


「…あ〜、とりあえず、座れば」
「…うん、ありがと」


既に空気は重たく俺も帰りたい気持ちだ。こいつー小鳥遊とは中学のときに付き合うことになってから、ずっと気まずい。だが俺から言った手前(そう、一応俺から告白したのだ。まあ告白らしくはなかっただろうけど)別れ話をするのもなんだと思い、相手からしてくるのを待っていたが今まで特に別れ話やそれらしい話もなく、ぐだぐだ惰性で付き合っていたら3年経っていたのだ。最早お互い付き合ってる意味がないことや、恋人といった名称が形だけなことくらい分かっているだろう。


「…家、こっち側だっけ?珍しいよな、こんなとこ1人でいるなんて」
「あ〜…バイト先がこっち側で…でも急にシフト変わってバイト無くなっちゃったから、ちょっと暇潰しに…上鳴は?さっきの人たち良かったの?」
「あいつらは俺も分かんねえわ…まあ、大丈夫だろ」


そんな久しぶりでぎくしゃくした会話を少し交わしたものの、会話が弾むわけでもなく、気まずい雰囲気のままだ。きっと向こうもそう思っているのであろう、さっきからずっと気を遣ったような下手くそな笑顔ばかりだった。

どのくらい時間が経っただろうか。10分前後のようにも、数時間のようにも感じられた頃、珍しく小鳥遊から口を開いた。


「……せっかくだし、一緒帰らない?」





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