01
「…くんのことが好きです!付き合ってください!」
眠たいなぁ、なんて思いつつお昼寝できそうな場所を探していたらそんな声が聞こえてきて、一気に目が覚めた。は、初めて人の告白シーンを見て(聞いて?)しまった…!
寝るのをきっぱり諦めて、早く返事しなよ〜!なんて、完全に野次馬精神でドキドキわくわくしつつ、その場で聞き耳を立てているとやけに聞き覚えのある声が響いた。え、うそでしょ。
「…聞いてた?なまえ。」
「…分かってるくせに聞くとこ、ほんとに性格悪いと思うよ揺ちゃん。」
女の子が泣きながら去っていった後、にやにや意地悪な顔しながら私のところにやってきた揺ちゃんは、本当に性格が悪い。さっきの子に対しては、びっくりするくらい優しい顔してたのになぁ。…でも気が許されてるんだなあって思うと、ちょっと嬉しいけど。そんな気持ちがちょっと顔に出てたのか、「何にやにやしてんの。」なんて言いつつ揺ちゃんがほっぺたをつまんできた。揺ちゃんだってにやにやしてたくせに。あ、ちょっと揺ちゃん、地味に痛いです。
揺ちゃんと私は小さい頃からの幼馴染。…なんてドラマチックなものではなく、傑物に入ってから、偶然おんなじクラスの、偶然お隣の席になって、そこから知り合った。それこそ最初はヨソ行きの優しー顔してくるもんだから、ちょろい私はにっこり微笑む揺ちゃんにドキドキときめいてしまってたんだけど、戦闘訓練のときにやらかして怪我してしまった私を、揺ちゃんは素のままで怒ってくれたのだ。それからはもう私に対してヨソ行きの顔をするのをやめた。最初こそ意地悪な揺ちゃんに慣れなかったけど、素のままで絡んでくれるのがうれしくて、今じゃ普通にちょっかい出し合ったりしてる仲になった。私はそんな優しくて意地悪な揺ちゃんのことが、いつの間にか大好きになってた。でも別に付き合いたいとかじゃないから、今みたいに意地悪言い合ったり、くだらないことで笑いあえたらいいなぁって、思ってただけなのに。
「…引っ越し?」
「ああ、なまえも一緒に行こう。向こうにはちょっとレベルは上がるが雄英もあるし、ヒーロー目指すにはぴったりだろ。」
「え、え、待ってお父さん、私、」
「男で一つで育ててきたから、今までなまえにはたくさん迷惑かけたが、これからはもっと楽に暮らせるようになるからな!」
そう言って本当に嬉しそうに笑うお父さんを見ていたら、行きたくないなんて言えなかった。本当は傑物にいたいなんて、親不孝な気がして。それに、私がいなくなったら、お父さん一人になっちゃう。
「…うん。私、雄英でも頑張るね。」
揺ちゃんと離れたくないなぁ、なんて思ったからか、自分でも下手くそな笑顔になってしまったことが分かった。あーあ、私のばか。