02
昨日お父さんから引っ越しの話を聞いたあと、中々寝付けなくて寝不足になってしまった。いつも夜10時には寝てしまうから、日付が変わってから寝るのなんて受験前以来かも。普段アホみたいにノーテンキな私が、話を聞いただけで寝不足になってしまうくらいショックだったのだから、揺ちゃんや畳ちゃんに会ったら、泣いてしまうかもしれない。だって私、みんなと離れたくないもん…。今更思ったってどうしようもないって分かってはいるものの、考えれば考えるほど悲しくなって、通学路にも関わらず涙がじんわり滲んできた。うう、まだ揺ちゃん達に会ってもいないのに。それに学校も近いから傑物の人もたくさんいて、通学路でべそべそ泣いてる自分が恥ずかしくなってきた。
「あっ!おはよーなまえ!あれ、泣いてるの?どしたぁ?」
「…ったたみちゃん〜〜!」
「おわっどしたどした〜!?」
「た、たたみちゃんあのね、私、うっ、」
「お〜よしよし、良く分かんないけどなまえは良い子だよ〜。教室行きながら話聞くから学校着くまでもうちょっと頑張ろ!」
悲しさと恥ずかしさでめそめそしてたら私とは反対側の道から来ていた畳ちゃんが慰めてくれた。畳ちゃんも同じクラスで知り合った子で、私と似てへにゃへにゃして見えるけど、私よりしっかりしてるし女子力も高い、素敵な女の子だ。あとちょっぴりミーハーなところもある。でもそこも可愛いんだあ。
畳ちゃんが来てくれたおかげで涙も落ち着いたので、学校に行きつつ泣いてた事情を話した。口に出せば実感してもっと悲しくなってまた涙が出ちゃったけど、今度は畳ちゃんも一緒に泣いてたから、不謹慎だけどちょっとだけ嬉しかった。
「ぐすっ…でもなまえいなくなっちゃうなんて絶対ヤダよ〜!それにヨーくんになんて言うの!?ヨーくんなまえのこと大好きだからいなくなるって知ったら絶対ショック受けちゃうよ!」
二人とも涙が落ち着きだしたころ、畳ちゃんが急に揺ちゃんの話題を出すから思わずドキリとした。べ、別に揺ちゃんの好きはそういう好きじゃなくて、妹向けるみたいな好きだって知ってるし、他の人経由で言われただけなのに、頬に熱は集中してしまうから、私って思ってる以上に揺ちゃんのこと大好きだったんだなあって他人事のように実感した。でも、揺ちゃんにもさよならしなきゃなんだよね。
「なまえ、大丈夫…?ヨーくんには私からそれとなく言おうか?」
「…んーん、大丈夫。揺ちゃんには私から、言うよ。」
言葉にすると寂しさも悲しさも大きくなって、胸がチクりと痛んだ。さよなら、したくないなぁ。