奇妙な客人


それはとても唐突な再会だった。
まだ小さく、無垢な瞳を持った君は凛とした光を宿し、立派な少女へと姿を変えていて。その姿はとても眩しく、けれど、とても悲しいと感じたの。

それは真田サン、そして久保くんに会うずっと―――ずぅっと、昔のお話。





珍しくバイトの斡旋の用事がないのに、鵠さんのお店を訪ねてきた久保くんと時くん。彼らの手には有名なチェーン店の牛丼とたこ焼き、それとコンビニで買ったであろうスイーツやお菓子が入った袋が握られていた。
ふと時計を見上げてみれば長針と短針が仲良くてっぺんを指していて、そこで私はようやくもう昼時なのだと理解する。…とは言っても、まだ倉庫の整理が終わってないしこのままお昼にしてしまうには半端すぎるなぁ。
でもお腹は空いた、と悶々としながらも片づける手を休めずにいたら表からカランッと鈴の音が聞こえてきた。この音がしたってことは、お客さん―――かな。まぁ、私がいなくても店主の鵠さんがいるし、それに久保くん達もいるから問題ないデショ。


「……あ。久保くん達ってば、モロご飯中だ…お客さん、びっくりしないかな」


きっといつものテーブルの上には2人が買ってきた食べ物が所狭しと並べられている頃だろう。来店したお客さんがびっくりする光景に違いない。…だって買い物しに来た店先でご飯食べてる人がいるなんて、誰も想像しないでしょう?私だってビックリしちゃうわよ、そんな光景を目の当たりにしたら。
そんなことを考えながらも黙々と片付けを進めていたら、ひょっこりと困った顔をした鵠さんが姿を現した。私にお客さんですよ、と一言添えて。


「お客、ですか?私に?」
「はい。何だか可愛らしいお嬢さんですが…」
「え?お嬢さん、って…女の子?」
「容姿から察するに中学生か高校生、といった所でしょうか」


え、ちょっと待って。ややこしくてすぐには理解しきれないんだけど、…私に中学生か高校生くらいの女の子のお客が来てるってこと?そんな子、知り合いにいた覚えがないんだけど。
けどまぁ、だからと言って会わないわけにもいかないし…とりあえず会ってみるしかないよね。もしかしたら私が覚えていないだけで、その子の顔を見たら誰か思い出すかもしれないし!…その確率、かなり低いとは思うけどね。
ひとまず自分の中で完結させてから倉庫から出て、お店へと戻ってみると確かにそこには鵠さんが言ったように中学生か高校生に見える少女が1人、立っていた。てか、そんな状況でいまだにご飯を食べ続けてる久保くんと時くんの神経を疑いそうになるけど、…まぁこの2人だからなーあんまり気にしてなさそうだわ。


「瀬上ほたるさん、ですか?」
「ええ、そうよ。私に何の用事かな、可愛らしいお嬢さん」
「お願いがあるんです!私のっ…私の両親を殺した人を捜してください、それで…殺してください!」


凛とした光を宿した瞳に、薄らと涙を溜めた少女は一言、そう言った。両親を殺した人を捜し出して殺してほしい、と。
見上げてくるその瞳が記憶の奥底に眠る誰かに、似ているような気がしたんだ。


「…ひとまず、詳しい話を聞きましょうか」
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