ホリツバ

7月7日。世間では七夕、と言われる日。織姫と彦星が、久しぶりに会える日だ。

「宴会よ、宴会ー!」
「お前はいつでも何処でも宴会じゃねぇか!!!」
「仕方ないよ、侑子先生だもん」
「あ、なまえちゃん浴衣だー!」
「ああ、これ?侑子先生からの強制でね、着せられたの」

なまえが着ているのは、黒地に赤の蝶が飛んでいるシンプルでありながら、上品な柄の浴衣。帯も兵児帯で豪華に飾り付けてあり、いつも下ろされている綺麗な黒髪もお団子にされていた。
それを見たファイは、ユゥイと共に「可愛いー!」と騒いでいて。強制した侑子も満足そうににんまりと笑って、お酒をどんどん飲み干していく。だが…なまえが一番感想を言ってほしいのは、彼ら双子でも、理事長でもなかったのだ。
愛しい彼に言ってほしい、というのが彼女の本音。

「みょうじ、ちょっといいか?」
「はいはーい」

宴会が盛り上がり始めた頃、なまえは黒鋼に連れられ、学園内にある小高い丘へと来ていた。

「うわぁ…星、綺麗だね!」
「此処がよく見えると、生徒に聞いたんだ」
「……ねぇ、黒くん」
「あ?」
「もし、さ?織姫と彦星みたいに、年に一度しか会えなくなっちゃったら…どうする?」

一時の沈黙。
二人の間に流れる沈黙の時間に、不安を隠せないなまえ。だが、紡がれた彼の言葉にその不安が打ち砕かれる。

「んなもん無理矢理にでも会いに行くに決まってんだろ。…あぁ、攫いに行くっつーのもアリだな」
「え―――」
「黙って待ってられるような性分でもねぇしな?手離せねぇモンは、意地でも離さねぇし…奪われたら取り返すまでだろう。…お前はどうする」
「僕、だって…会いに行くに決まってる…!」


星に願いを
(願う必要なんて、なかったね)


(あー…なまえ)
(うん?)
(浴衣、似合ってる…)
(!あ、ありがとう…っ!)

『その途の先の果て』設定でホリツバ。
黒鋼さんと夢主はもう恋人になってます。こういう甘いの書きたいなー。

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