キスしないと出られない部屋に閉じ込めてみた
【水に揺蕩う恋:黒鋼の場合】
『キスしないとこの部屋から出られません。』
「え、なにこの理不尽なやつ」
「俺が知るかよ…さっさと出るぞ」
「いや、あの、うん。僕もさっさと出たいけど、…出口ないよね?黒鋼くん」
「ないなら作りゃあいいだけの話だろ」
―――ガンッ!
「……びくともしないね。手、大丈夫?」
「…ぉぅ……」
「はぁ…痛いんだね、見せて?―――ちょっと赤くなってるけど、骨に異常はないかな」
「なんなんだ、この壁…鉄みてぇな硬さだぞ」
「普通は拳で壁を壊そうと思う人はいないと思うけど」
(なまえさんしばらく思案顔)
「なまえ?」
「黒鋼くん、ちょっと屈んで?」
「あ?」
―――チュッ
「?!」
「あ、開いた。あの紙に書いてあったことって本当だったんだねぇ」
【架ける、想い:コンラートの場合】
『キスしないとこの部屋から出られません。』
「何だこれ?!」
「だけど、閉じ込められたのは本当みたいだね。出口が見当たらない」
「剣もないし…これじゃあ壊しようがないだろう」
「いや、剣があった所で壊せるかどうかもわからないと思うんだけどな」
「やってみないとわからないだろうが、コン」
「…本当、そういう所は男らしいよな。なまえって」
「だが、どうする?」
「ん?脱出方法は書いてあったんだし、試すしかないんじゃないか?」
「試すって、……え、する、のか…?」
「それしか方法がないみたいだし。―――おいで?なまえ」
「ッ…それは、ズルイぞ、コン」
「でも素直に来てくれる君が好きだよ」
―――チュ、
「〜〜〜〜っ…!!」
「さ、無事に開いたし…行こうか」
【闇に咲く一輪の薔薇:セバスチャンの場合】
『キスしないとこの部屋から出られません。』
「…だそうですよ?なまえ」
「ニヤニヤしながら言うな、変態執事」
「ですが、この紙は嘘を言っていませんね」
「そのようね。入ってこれたのに、出口がなく、一面壁だなんて…壊せたりしないのかしら?」
「イケそうな気がしないでもないですが、せっかくですので乗っかってみるのも面白いのでは?」
「アンタ、とことん楽しんでるわね…ここぞとばかりに」
「仕事中に堂々とキスできるなんて、こういう時しかありませんので」
「……別に仕事中にしなくても、夜にしてるじゃない」
「特別感と背徳感―――よろしくありませんか?この響き」
「はぁ…ほんっと変態だな、あたしの彼氏!」
「今更ですよ。…では、許可を頂いても?」
「許可なんて別に、…それにしないと出られないなら拒否権も、ないでしょうに」
―――チュッ
「ん……意外。触れるだけ?」
「もっと深いのをご所望でしたら応えても構いませんが―――それは夜のお楽しみと致しましょう」
【その瞳は哀しみを宿して:八戒の場合】
『キスしないとこの部屋から出られません。』
「〜〜〜〜っ?!」
「なまえ、顔が真っ赤になってますが大丈夫ですか?」
「あ、あまり大丈夫じゃないかもしれないです…!何なんですか、コレ!!」
「さあ…でも罠に嵌ってしまったのは事実のようですね。ドジッちゃったなぁ」
「冷静ですねぇ、八戒くん…」
「焦っていないわけでもないですけど、脱出方法は示されているので…まぁ」
「本当、なんですかね?これ」
「どうでしょう?やってみないと真偽はわかりませんよ」
「いや、それはそう、なんですけど…っ」
―――グイッ
「きゃっ…ちょ、八戒く、」
「少しだけ触れさせてくださいね、…なまえ」
―――チュ、
「ああ、開きましたね。……大丈夫ですか?」
「八戒くんのバカァ…!!」
【想いは空に溶けて:新一の場合】
『キスしないとこの部屋から出られません。』
「……」
「……」
「なぁ、新一」
「おう。多分、オメーと同じこと考えてる」
―――下らねぇこと考える奴っているんだなぁ。
「だよな、そう思うよな?やっぱり」
「けど、冗談とかではねぇみてぇだな…一面壁だし」
「それってするしか、方法ないってこと…?」
「だろうな。…なんだよ、嫌なのか?散々してるだろ」
「そっ…そう、なんだけど、なんか…そういう理由でするのは、嫌だっつーか…」
「………」
「あ、あれ?新一…?」
「なまえ、オメーなぁ…!」
「何か変なこと言ったか?私…」
「あんまり煽んじゃねーよ、バカ」
―――チュッ
「ん、…」
「…俺の部屋行くぞ」
「えっちょっ新一?!」
*オマケ*
【想いは空に溶けて:赤井の場合】
『キスしないとこの部屋から出られません。』
「またかよこんちくしょう!!」
「なんだ。一度、体験済みか」
「ああ、新一とね!…二回目とか、バカじゃないの私…」
「そう落ち込むな。…ということは、この紙に書いてあることは嘘ではないということか」
「うん、まぁそういうことになるかなぁ」
「ふむ…」
「?どうしたのさ、秀さん」
「なまえ、ちょっと顔を貸せ」
「いいけど、なにす―――」
―――チュ、
「?!」
「…開かんな。頬ではダメなのか?」
「た、確かに新一と閉じ込められた時は頬じゃ、なかった、けど…!」
「くくっ顔が真っ赤だぞ」
「真っ赤にもなるわ!!」
「仕方ない、ボウヤに殴られるのは勘弁なんだが…」
―――チュッ
「んっ…!」
「成程、確かに口でなければダメなようだな」
「だからってすんなりできるアンタがすごいよバカ……!!」
いやぁ、楽しかったよこれ!!
それぞれの反応を考えるのって、楽しすぎてニヤニヤしちゃいますね。
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