05

みょうじ なまえ!ただ今、めっちゃくちゃ悩んでおります!!!

「なら告れよ」
「私も同意するわ。悩むくらいなら当たって砕けて来なさい」
「砕けたらダメじゃないの?!リコ!!」
「そのくらいの精神が大事だってことよ。全く…普段は男より男らしい性格のクセに、こういうのはてんでダメなのね?」
「慣れてないんだもん…仕方ないじゃん〜…」
「…砕ける可能性は低いと思うけどな」
「?日向、何か言った?」
「いーや。何でもねー」

はあ…リコは他人事だと思ってるから、楽しんでやがる。日向は心配もしてくれてるみたいだけど…あんまりグチグチ弱音吐くとクラッチタイム発動しそうだから言わない。

さて。何を悩んでいるのかと言いますと…私、結構前から黒子くんのことが気になっていまして。

最初はね?可愛い後輩だったからよく見てたんだと思うんだ、面白いプレーするし。それによく見ていないと、すぐ姿見失っちゃうし!それだけだったはず、なんだけど。年下には興味の欠片もなかったはずなんだけど…気が付いたら、いつでも目で追うようになっちゃって。今では彼が何処にいるのか、すぐ見つけられるほどになりました。自分でもびっくりだけどさ。
はぁ〜…でも告白、かぁ。確かに言わずに後悔するより、言って後悔した方がいいかもしんないけどさー。

お昼を食べた後、暇つぶしに校内を歩いていたら女の子と話をしている黒子くんを発見。
珍しいなぁ、と思う反面。胸がズキンッと痛んだ。嫌だ。私以外の女の子と、仲良くしないで。…なんて、私が言えるセリフなんかじゃないのに。
此処から離れてしまえばいいのに、何故か足が動けなくてそのまま立ち尽くしたまま。ふと、こっちを黒子くんが向いて、目が合った瞬間。私は脱兎の如く逃げ出した。

「っみょうじ先輩!」

あぁ、もう…私は一体、何をしているんだろう。何をしたいんだろう。走って、走って、走って、階段を駆け上って、気が付いたら屋上へと来ていたらしい。昼休みだけど、まだ肌寒いからか人は全然いなかった。…今はその方が好都合だ。こんな、泣きそうなひどい顔…誰にも見られたくないし。

さっきの女の子、クラスの子なのかな…すごく可愛かったな。大人しそうで。私とは全然違うタイプみたい。何て言うか、女の子らしい子。ああいう子が好みなのかなぁ…そうだとしたら、私には勝ち目ないじゃんか。告白する・しない以前の問題だよ。

「も、こんな自分やだ…」

ズルズルと座り込んで、スカートなのにもかかわらず体育座りをして膝に顔を埋めた。

「ハァッハ……こんな所にいたんですね、捜しました」
「っ?!く、くろ……っ」
「あぁ、良かった…もしかして、」

泣いているのかと思いました

「なっ泣かないよ!泣く理由なんてっ…!」
「さっき、とても泣きそうな顔をしてたので…もしかして、と思ったんです。ねぇ、先輩」

黒子くんは私の前まで来て、目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。綺麗な…水色の両目が、情けない顔をした私を映す。自分を見つめているような錯覚に陥りそうで嫌だけど、でも黒子くんの瞳はやっぱり綺麗で、澄んでいて、逸らせないんだ。

吸い込まれそうな…ガラス玉のような、瞳。

先輩、と呼んだのに黒子くんは何も発しないまま、私を見つめている。私も何も言葉に出来ずに、見つめ返す。
そんな状況になって、一体どれくらい経っただろうか…不意に黒子くんが動いた。立ち去ってしまうのだろうか、と思った時。ふわりと抱き締められる。

「っえ…くっ黒子くん?!!」
「一回しか言いませんから、よく聞いていて下さいね。僕は―――貴方が…なまえさんが好きです」
「……!!!」
「いつから、なんてわかりません。だけど、いつでも笑顔でマネージャーの仕事をしている貴方がとても素敵だと思って、目で追うようになっていました」
「黒子くんが…私、を?」
「はい。…先輩は僕のこと、どう思ってますか?さっきの反応で僕は自惚れてしまいそうなんですが」

さっき………あ、私が逃げ出した時のことだ。
自惚れてしまいそう、だなんて…いくらでも自惚れてよ。間違いなんかじゃないんだから。彼の背中に手を回して、負けないくらいにギューッと抱き締めた。

「自惚れてクダサイ」
「…何で片言なんですか…」
「緊張してるのっ!そのくらい察して!!!」
「クスクス…すみません。でも…言葉でも、聞きたいです」
「〜〜〜〜〜〜っ…!わ、私も…黒子くんが、好き、大好き…!」
「―――…ありがとうございます」

こうして私達は、恋人となりました。
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