彼と彼女の友人の場合


友人である伏見と東雲に突然呼び出されたから、一体俺はあいつらに何をしたんだ…?!とドギマギしてしまった。だって友人と言えど、呼び出しなんかくらったらそんな風に思っても仕方ないだろ?
でもやらかした心当たりなんてこれっぽっちもねぇし、どうしたらいいかわからなくて内心冷や汗ダラダラだった。逃げてしまおうか、と一瞬だけ脳裏をよぎったけれど、結局は講義を終えた後、待ち合わせ場所である食堂へ大人しく足を運びましたが。

 side:橘

「え、なに。やっと?」
「は?」
「へ…?!」
「え?」

一体、何を言われるのかと思っていたら、最近つき合い始めたんだという報告でした。俺が何かやらかしたとか、そういうことではなかったらしい。
てか、何でこいつらはそんなに驚いてるんだ?伏見に至ってはちょっと眼光鋭いぞ。お前に憧れてる女の子達が見たらビックリするんじゃねぇの?…いや、ギャップ萌えとかになんのかな。これも。

「やっと、って…どういうことだよ、橘」
「どういうことも何も…両片思いだろうな、って思ってたし」

伏見も東雲も特別わかりやすいってわけじゃないと思う。現に他の友人達は伏見に恋人ができたこと気がついてないと思うし。じゃあ何で俺が気がついたのかっていうとー…2人共さ、たまぁーーーーに、本当極々たまぁーーーーに相手を見る目がなんつーか…甘いっつーか、愛しいものを見る目っつーの?そんな感じだったんだよな。それでもしかしたら、って思ってたんだ。
気にはなってたけど、さすがに不躾に東雲のこと好きなのか?とか、伏見のこと好きなのか?とか聞けないじゃんか。ほぼほぼ当たってるだろうけど、でも万が一俺の勘違いだったら申し訳ないし。だから今まで黙ってたんだよな。―――って言ったら、伏見は顔を真っ赤にしてるし、東雲はテーブルに突っ伏してしまった。
あれ、やっべぇ爆弾落とした感じ?

「嘘だろ………」
「残念ながら事実で現実だぞ、伏見。そんで大丈夫か?東雲」
「だいじょばない……穴に埋まりたい」

埋まるな、埋まるな。穴があったら入りたいでもなく、もう最初っから埋まりたいんか。何言ってんだ、お前は。
時々、突拍子もないこと言い出すよなー。そういう所、面白いと思うけど。

「まぁでも実際問題、お前らがつき合い始めたってこと気がついている奴はいないと思うぞ」
「橘くんの話を聞いた後にそう言われましても…」
「あー……それなりに近い所で見てきた自覚はあるからな、2人を」

元々幼なじみであることは隠していなかったし、距離感も近かったから入学したての頃はつき合っているのでは?って勘違いされてたけど、それをことごとく否定してたから…今更それはないだろ、って感じだと思う。だからちょっと気をつけた方がいいと思うんだよな、こいつらはお互いに。

(伏見も東雲も、自分が人気があるって自覚薄いんだよなぁ…)

つき合ってる奴がいないなら、と狙ってる奴は多いと思う。
現に周囲からはそんな話をよく聞くし、俺も伏見や東雲の好みのタイプ聞かれたり、合コンやるから連れてきてくれーって言われたことも多々ある。一度や二度じゃねぇもんな。…俺がわざわざ忠告なんかしなくても、伏見はその辺わかってそうだけど。東雲のことに関しては。

「…ひとまず良かったな、おめでとう」
「―――…おう、ありがとう」
「うん、ありがと橘くん」

本当に嬉しそうに笑うから、こっちまで嬉しくなっちまう。
さて、友人2人を祝う為に桜井も巻き込んでメシでも食いに行きますかね。
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