一緒にたべよ


午前中の講義を終え、グッと伸びをする。教科書とノート、筆記具をしまって立ち上がると、パンツのポケットに入れっぱなしにしていたスマホが震えた気がした。誰だろ、電話ではなさそうだけど…スマホを取り出して、確認してみると臣くんからLIMEがきていた。
メッセージの内容は、食堂にいるからとだけ。んん?何でそんなことをわざわざ…?約束してたっけ?―――あ、そういえば…昨日、お弁当を作っていくから一緒に食べようって言われたんだった。LIMEがこなかったら思い出せなかったと思う。ごめん、臣くん。

(ボケッとしすぎだなぁ…昨日言われたことすら覚えてないとか)

すっぽかす羽目にならなくて良かった、と安堵の息を吐き、スマホをしまってから食堂を目指す。どの辺にいるかまでは聞かなかったけど、多分行けばわかる気がする。見つけられないかも、って不安は不思議とないんだよね。
食堂自体がそんなに広くないっていうのもひとつだけど、それ以上に臣くんのことは絶対に見つけられる根拠のない自信が私にはある。割と昔から。今となっては背が大きいからとかもあるんだけど、何かね、それを抜きにしてもすぐに発見できるんだよなぁ。

「あ、いた。臣くん、綴くん」
「お疲れ、はる」
「お疲れっす」

うん、やっぱりすぐに見つかった。
臣くんの隣に腰を下ろし、テーブルの上を見れば運動会やピクニックですか?って思うくらい、豪勢なお弁当が広げられている。とても美味しそうだし、嬉しいけど、これ作るの大変だったんじゃない?そしてよく持ってこれましたね…?
一瞬謝りかけたけど、ここは多分…お礼を言った方がいいやつだよね、うん。ありがとうと伝えれば、2人は笑ってくれて何故かホッとしてしまった。

「ん〜…美味しい…」
「良かった、食えそうか?」
「うん、大丈夫」

ここ最近はあまり食欲もわかなくて、でもお母さんがいる手前食べないって選択をするわけにもいかないし。だから最低限の量を食べるようにはしてたんだけど、臣くんにはそれすら見透かされていた。
我が幼なじみながら、この観察眼には毎度恐れ入るのである。本当に。

「あ、これ美味しい」
「それは綴が作ったやつだな」
「そうなの?」
「っす。口に合ったなら良かったです」

昨日まであんなに食べる気力がなかったのに。友人と一緒でもなかなか食が進まなかったのに、…変なの。
少しずつ、紙皿に載せられたおかずやおにぎりを口にすれば、臣くんと綴くんもようやく箸をつけた。心配してくれているのが嬉しいような、くすぐったいような…何とも言えない心地になったのは言うまでもない。
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