千景さんと
「え?臣くんの好きな所?」
「そう」
「何すか、急に…千景さんって別に人の恋路とかそういうの、興味もたない人でしょう」
「それはその通りなんだけど。長所ばかりのように見える臣のどこに、幼なじみである遥は惹かれたのかなって」
「…好奇心?」
「端的に言うとね」
「大人になっても好奇心旺盛なのはとてもいいことだと思いますけど、それは私以外の人に向けてくださると助かりますねー」
「ははっ面白いくらいに棒読みだなぁ」
「棒読みにもなるでしょーよ、……ううん、好きな所かぁ…」
「でも律儀に考えてくれるの、遥のいい所だよね」
「はぁ…それはどうも」
「お人好しとも言うけど」
「本音はそっちだろ、千景さん」
「さあ?どうだろうね」
「んー…優しい所、料理上手な所…」
「あれ、案外普通?」
「普通かどうかは知りませんけど、こういうものじゃないんですか?好きな所って」
「もっと違う一面を好きなのかと思ってたから」
「ああ、………そういうのは、あんまり口にしたくないっすねぇ」
「へぇ…もしかして遥って、独り占めしたいタイプ?」
「さあ?どうっすかね」
(にんまりと笑った彼女の顔は、初めて見たような気がした)