Prologue
遊戯の始まり
時は、満ちた。かつての悪夢から、我を解き放て。
さあ、全てのモノに祝いの黒薔薇を―――――
「…本当に行くの?クロード。確かに帰ってきたけれど、あの子はあんな状態で…っ!」
「僕の主からの命ですから、アンジェリーナ様」
月明かりだけが影を映し出す光となっている真夜中。
白を纏った男と、赤を纏った女がネズミ一匹通らない街中に佇んでいた。その横には馬車が一台。
「貴方にはとても感謝してるよ、アンジェリーナ様。行き場のなくなった僕を今まで雇ってくれていた…」
「当たり前でしょ?あんたは家族同然だったんだから!いなくなってしまうのは…やっぱり淋しいわね」
「そう思ってもらえるだけで十分だ…じゃあ、お元気で。マダム・レッド」
「ええ、貴方もね。クロード」
走る、走る。月明かりの中を一台の馬車が。
全ての終わり、全ての始まりとなった場所を目指してひたすらに。
「シエル・ファントムハイヴ…我が主。どんな感じに成長されてんのかねぇ」
そして今、新たな悲劇の幕が上がる―――――