黄金の下に集った我ら


『ひどい怪我ですね…あの、大丈夫ですか?!』
『おいお嬢さん!聞こえてっか?!』


―――始まりは、2つの声だった。


『すっげー!!コイツ、お前の中に棲んでるのか?!』
『俺がいいと言ったらいいに決まっているだろう』


―――また2つ、声が増えていく。
そしていつの間にか、その声の主達は私を救い上げてくれたんです。深い水の底にいた私を、動けずにいた私を、いとも簡単に引き上げて陽の下に…いいえ、黄金の下へ連れ出してくれました。
黄金は決して導いてくれたりはしません。けれど、それでも私はあの御方を優しい人だと思っています。だってあの御方にその気はなくとも、私は救って頂きましたから。

色んなことがありました。楽しいことだけじゃない、悔しい思いも、辛い思いも、苦しい思いも、悲しい思いもたくさん…たくさんしました。でも、それでも歩みを止めようとは思わなかったし、今思い返してみるとその度に生きているんだ、と実感していたのかもしれませんね。
色んな思いをして、受け止めて、拒絶して、それで―――…私達はまた、一歩ずつ目指すんです。西を。


『香鈴、僕は―――貴方が、好きです』
『この際だから先に言っておきますけど、多分…僕は花喃を忘れることはないと思います。それこそ、最期のその時までね』
『忘れはしません。でも、それでも―――僕はこの先の人生を、香鈴と歩んでいきたいんです』


八戒くん。きっと、私を一番支えてくれていたのは君だと思うんです。君の言葉さえあれば、私はどんなに辛い道だって乗り越えられそうな気がしているくらい勇気づけられて、励まされているんですから。
この先もずっと、君と一緒に歩いていきたい。この先の人生を、八戒くんと歩んでいきたい。願わくば、最期の時まで君の隣で笑っていたいと…そう思ってしまうんです。


「おーい、香鈴!」
「なぁにしてんのよ香ちゃん、置いてっちまうぜ?」
「さっさと来ねぇか。出発するぞ」
「行きましょう、香鈴」


紫と金と紅と翠―――私がずっと追い求め、焦がれる色。
絶対に失くしたりしない。傷つけさせない。ずっとずっと、守り続けたいの。


「はい!今行きます!」





―――そう。それは遥か昔から受け継がれる、彼女の想い。何百年経とうとも、色褪せない誓いだ。
その想いを、誓いを胸にひた走れ。ただ我武者羅に。



「いってらっしゃい、香鈴。
―――貴方達なら絶対に、大丈夫よ」
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