八戒の宝物


 side:八戒


「あれ?八戒、何か落としたよ」
「え?…ああ、すみません。ありがとう、悟空」


悟空が拾ってくれたのは1枚の紙切れ。何の変哲もない紙切れだけれど、僕にとっては宝物だ。
受け取ったソレをパスケースの中にしまい、二度と落としてしまわないよう、カバンの中に大事に仕舞い込む。


「なぁ、さっきの紙切れって大事なものなのか?」
「どうしてです?」
「だって普通はあんなの持ち歩いたりしねぇし、受け取った時の八戒の顔が嬉しそうに見えたっつーか…」
「あはは、そうでしたか。…そうですねぇ、悟空の言う通り、あれは僕の宝物なんです」


そう言えば悟空は案の定、紙切れが宝物?って顔をしていました。まぁ、それが普通の反応ですよねぇ?中身を知らなければ、絶対に。
でもごめんね、悟空。『宝物』だと言い切る理由を、貴方に教えるつもりは毛頭ないんです。僕だけの秘密で、…僕だけ、その言葉の意味を理解できていればいい。そう思ってしまっているから。


「さ、早く帰らないと三蔵が帰ってきてしまいますよ?」
「あっそうだ!早く帰って夕メシ作らねーとっ!」
「今日は何を作るんです?」
「さみーから鍋かなー…それかおでん!」
「ああ、いいですねぇ。ウチも鍋物にしようかな」
「だったら皆で食おうぜ!悟浄とカナ姉ちゃんも誘ってさ」


嬉しそうに言う悟空の言葉を聞きながら、梨花さんも―――と思ったけれど、彼女には夕飯を作って待ってくれている家族がいるのだし、急に誘ってしまったら困るだろうな。
今度の休み、空いているかどうか確認をして、空いているようならデートに誘ってみようか。



―――八戒さん


私も、貴方が好き。大好きです。
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