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例の第一次大富豪戦争から一ヶ月経った。
真選組の誰しもがそんなこともあったなぁと懐かしさに目を細めるくらい、土方となまえは変わらず仲が良い。
むしろ、以前よりも仲が良くなった気がするという意見が多数隊士の口から自然と語られ、「もしかしてあの2人付き合ってるんじゃね」という定番のイジりにまで発展している始末だ。
土方の居る所には、必ずと言っていいほどなまえも居る。逆も然り。この現象は、すこぶる機嫌の良い副長という隊士達にとって仏より有り難い存在を生み出すことに繋がり、最早2人の仲の良さこそが真選組の潤滑油といっても過言ではなかった。
真選組には笑顔と平和が溢れ、どんなに凶悪な事件が起きてもテロリストを検挙しても、揺らぐことはなかった。
しかし、この状態を面白くないと思っている者も中には居たのだ。残念ながら。

「面白くないでさァ」
「うん、全く面白くない」

居酒屋の奥のカウンター席でそうごちるのは、清酒の瓶を真ん中に置き、意気消沈する沖田坂田のドエスコンビであった。赤ら顔の片方は未成年なのだが、取り締まる側を取り締まれる者は少なくともこの活気だけある居酒屋には居ない。

「つーかさぁ、土方くんってなまえの何なわけ? 興味ねぇみたいな顔しといて、しっかり手綱握っちゃってさ、ズルくない?」
「興味ねぇなんてとんでもない。ああいうヤローはね、旦那。実は女々しく想いは募らせてるもんなんでさァ」
「……なんか説得力がちがうなオイ」
「姉上がいい例でさァ。あのクソヤローは殊勝なことを言っときながらね、結局、恋してる自分が一番好きなタイプなんでィ」
「鬼の副長が聞いて呆れるな」
「で? 旦那は告白しないんですかィ?」

さっきまで同じ方向を向いていたはずなのに、容赦無く唐突に刺してこられ、銀時の手の中のネギマは串ごと皿に落ちた。動揺をすくって笑う沖田の顔は、間違っても警察と呼べるものではなかった。

「それなんだけどさぁ、沖田くんぶっちゃけどう思う?」
「俺は成功してもしなくても面白いと思いますけどねィ」
「ぶっちゃけ過ぎだろーが」
「まぁ何はともあれ早くした方が良いことは確かですぜ、色々面倒くせェ事が起きる前に」

じゃあ、と片手を上げて店員に「副長にツケといて下せェ」とお決まりの台詞を吐いて、笑顔を浮かべて居酒屋から出た。その背中を目だけで追いながら、何とも言えない複雑な気持ちのまま、グラスの底に少し残った清酒をグイと煽った。


   
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