これは「彼女の世界を記した物語」である。
しかし彼女を主人公の立ち位置を据えるつもりはない。何故なら、彼女は人で無し・・・・なのだから。良く言えば「生き字引」だが、悪く言えば「死にぞこない」であり「生きる屍」のようなものだ。主人公がそれ・・では、幸せな結末を迎えられるはずもない。

であるならば、この物語の主人公に相応しいのは誰なのか。
それは彼女に振り回されて次第に歪んでいく者だ。よって「世界の断片が、世界の中心を観た物語」と言い変えることも出来るが、それでは意味がない。何故なら、これは「彼女が生きた証」でもあるのだから。
彼女の「備忘録」であり「成長記録」も兼ねているとすれば、そこには当人が居るべきだろう。

であるならば。幸せな結末へ向かうにはどうするか。
登場人物が歪である分、内容を有り触れた物・・・・・・にすれば良いのではないだろうか。決して誰かの記憶に残るようなものではなく、一般的でありながら法螺話の要素を含んでいれば、どうだろうか。
そのような前例も、成功した事例も聞いたことはないが、前人未到とは常にそういう状況下でこそ起こるものである。

そう考えたわたし・・・は、彼女の幸せのために筆を執ることにしたのであった。

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