序章:九と四分の三番線からの旅(2/3)

「咲耶、君は新入生だろう?」

フレッドが聞く。

『ええ』

小さく頷いた。


「うちのロニー坊やと同じだ」

咲耶は『ロニー坊や?』と小さく首を傾げる。


「俺達の弟さ。ロン以外にも上に三人の兄貴と下に妹がいるのんだ」

ウィーズリー兄弟は双子を含め、七人の兄弟。

上の兄、ビルはとチャーリーはホグワーツを卒業しているらしい。

一番目の兄のビルは、グリンゴッツ魔法銀行の呪い破り、二番目の兄はルーマニアでドラゴンの研究をしている。

三番目の兄のパーシーは今年、監督生に選ばれ、すぐ下の弟のロンは今年入学、末っ子のジニーは来年ホグワーツに入学するらしい。



「――で、君は兄弟いるの?」

『いません』

愛想がいい訳でもないのに、フレッドとジョージは気にする様子なく咲耶に聞き続ける。


「咲耶はどこから来たんだ?」

ジョージに聞かれ『日本です』と答える。

「どうやって?」


『飛行機です』

咲耶が短く答えるなど、双子たちは気にしている様子などなく「マグルの空飛ぶ乗り物で?」と言う。

「親父が聞いたら、喜ぶだろうな」

「ああ」

ニヤニヤとフレッドとジョージは話し始めた。


『どうして?』

「親父はマグルが好きなんだ」

目の前に座っているジョージが答えた。

「好きすぎて、暴走するからよくお袋に怒られてるんだよな」

フレッドが言った。


それから主に、彼らの一方的な質問に、咲耶は短く答え続けた。




――十二時半頃、通路でガチャガチャと大きな音がして、えくぼのおばあさんがニコニコ顔で戸を開けた。

「車内販売よ。何かいりませんか?」

「俺たちはいいよ。――咲耶は何かいるものある?」

咲耶は『いいえ』と首を横に振った。

えくぼのおばあさんはゆっくりと戸を締め再びガチャガチャと音を立てて通路を進んでいった。


それからすぐに、コンパートメントが戸が開かれ、フサフサの栗色の髪の毛をした少女が入ってくる。


「ヒキガエルを見なかった?ネビルのカエルが逃げたの」

咲耶は『見ていません』と小さく首を横に振る。

「俺たちも見てないぜ」


ジョージが答えると少女は「そう…」と呟きながら戸を閉めて行ってしまった。

少女が去ってから、しばらく時間が経ったころのこと、赤毛の少年がコンパートメントのと戸を開けてくるなり双子たちを見てため息を吐く。

「はぁ…まだ、制服に着替えてないのか?そろそろ制服に着替えたほうがいいぞ」


双子たちは「わかってるさ、パース」とニヤニヤと頷いた。


「………っ」

ニヤニヤする双子に対し赤毛の少年は眉間に皺を寄せ双子を睨みつけると、コンパートメントの戸を閉めて去っていった。


『さっきの人がパーシーですか?』

「ああ」

フレッドが頷いていると、ジョージが「さてと…」と立ち上がった。


「そろそろ制服に着替えようぜ。俺たちは、通路にいるから咲耶は、先に着替えなよ」

ジョージに言われ咲耶が頷くと、三人はコンパートメントから出て行った。



咲耶はトランクから制服を取り出し着替え始めた。

そして、着替え終わると戸を開いて通路にいる双子とリーに『着替え終わりましたので、次どうぞ』と言って通路へと出ていき、双子とリーはコンパートメントの中へと入っていき、咲耶は三人が着替え終わるのを待つ。


ぼーっと窓の外を待っていると「着替え終わったぜ」とジョージが伝えると、咲耶はコンパートメントの中へと入っていった。