2、ここはどこ?
「っ!」
身体の節々が痛い。
何でこんなに身体が痛いのか。
井吹は身じろぎをしながら、うつ伏せになっていた身体を起こす。
「……ここ何処だ?」
ぺたんと座りながら周りを見渡せば、知らない風景しかない。
どう見ても、古い建物ばかり……よく言えばレトロ感溢れている。
そしてコンクリートでなく、土の道。
なんで、こんな所に……と井吹は考え、直ぐに玄関から謎の穴に落ちた事を思い出した。
「……そうだった」
井吹が愕然とそう呟いた時だった。
チャキッ
不意に耳元で鳴る金属音。
「何が、そうだったの?」
何故か、楽しげな男の声音。
頭の中では、振り返ってはいけないと警鐘が鳴るが、そんなのとは反して井吹は恐る恐る自分の状況を確認するべく振り返る。
キラリと不気味に光る長い刃物――どう見てもファンタジーで登場してくる剣が自分に向けられている。
それを伝って、その剣を握る人物を見上げた。
「ねえ、君……一緒に来てくれるかな?」
蜂蜜色の髪に、翡翠の瞳が細められ有無を言わせない、そんな男の声音。
そして自分に向けられたままの剣。
男の服装は、現代で見ることもないファンタジックな姿。
あえて表現するなら、昔の中国民族のような格好…。
なにここ。
一体どこだ。
それにコイツ……
「……コスプレ?」
井吹がポツリと呟く。
「で、どうなの?」
聞かれたことを答えなかったからなのか、先ほどの言葉が聞こえたからなのか、相手はにっこりとすると、剣先をさらに井吹に近付けた。
「――っ!わ、わかった!わかったから、そんな物騒なもの向けるのやめてくれっ!」
井吹が必死に懇願すれば、男は剣を静かに下ろし鞘の中に納める。
「なにやってるの?早く立ち上がりなよ」
まだ、座り込んだままの井吹に冷たくいい放つ。
その事にムカッとしながらも、井吹は立ち上がり、その男の後をついて行った。
知らない場所。
知らない人。
分からないまま、ついて行く。
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