5

ごごごごご
という音が響き、門は開かれた。

「ほわ〜。すごい……」

そんな感嘆の声も、建物に吸い込まれて消えてしまいそうだ。
パカパカと馬を進めながらゆっくり中に入っていった。


*****


「コンラッド――――!!!」

タッタと走ってくる少年。
茜は元気な子だな〜などと、コンラッドさんに馬から降ろしてもらいながら、
どうでもいいようなことを考えていた。
そうしないと、自分の心臓がいろいろな意味で持ちそうもないと思ったからだ。

「待ってたんだよ。コンラッド!そっちが茜さん??」

「へ?」

ひょっこりと、少年は顔をこっちに向けて話しかけてきた。
全くもって自分に話しかけてくるとは、思っていなかったので、気の抜けた返事をしてしまった。

「俺、渋谷有利原宿不利……じゃなくて、渋谷有利。有利でいいから」

「は、はあ……。って、ちょっと待って?もしかしなくても、言葉わかる?!」

「え?う、うん。そりゃあ、」

うなずいたのを見た私は、ついつい嬉しくなって、有利くんの手をがしっと握ってブンブンと上下に振りながら言った。

「きゃ〜!!嬉しい!この世界で始めて言葉が通じる人!!有利くんありがとう!」

「だから、有利でいいって」

「うん。じゃあ、お言葉に甘えて有利って呼ぶね!私も、茜でいいから」

「うん。わかった。茜な!……でもそうだよな。言葉わからなくて不安だったろ?
やっぱり俺が迎えに行ってやるべきだったかな?
ごめんな〜。コンラッドがいるから大丈夫だと思ってたんだけど……」

「ううん。いいの!有利に会えただけで私は嬉しいよ!言葉が通じるって素晴らしいね!」

「あははは!俺も言葉が通じなかった時はどうしようかって思ったもんな〜」

うんうん。とお互い頷きあっているところに、コンラッドが口を開いた。

「盛り上がってるところすみません。陛下」

「陛下言うなよ。なずけ親」

「すみません。ユーリ。
中に入って話しましょう。
彼女は濡れてますし、風邪を引かないうちに暖かくした方が…」

「あっそうだな。ごめんな。茜。気付かなくて…。さ、早く入ろう」

「うん」

返事をした茜に有利はこっちだよ。と言って城の中に入った。
先に入った有利に事情を聞いたのか、私が入ったらそこのメイドさんだと思われる人に囲まれてお風呂まで連れて来られた。
いつまでたってもメイドさん達が出ていかないので一人で入れるからと手ぶり身振りで訴えたら、しぶしぶという感じで出ていってくれた。
伝わったみたいでよかった〜。
ざぶんと勢いよく、湯船に入る。

「あったかーい!」

そんなに冷えていないと思っていた身体は、結構冷え切っていた様だった。
じんわりじんわりと、温かさが身に染みる。

「はぁー」

気持ちがいい。と茜はゆっくりと湯船につかる。

「なんか、夢にしてはリアル!」

このお湯の暖かさも水の冷たさも、よく感じることに驚きを隠せない。
茜はまだ夢落ちだと信じてる。


「ふは〜っ!さっぱりしたぁ」

タオルで身体を拭きながら、ある一点に目が止まる。

「……もしかして、これが着替えですか……?」

脱いだ服は無く、代わりに置かれていたのは、きらきらと綺麗な黒いドレス。
おそらく、メイドさん達が回収したのだろう。

「もっと普通の服はないのかなぁ……」

そう良いながらも、なんだか嬉しそうに着替える茜だった。

外に出るとメイドさん達が待っていた。
素早く茜が着替えられているのを確認すると、ある部屋まで連れてこられる。

「え、えと……?」

茜が戸惑ってる間に、メイドさん達が茜の髪や顔をいじる。
あっという間に髪の毛はアップにされ、軽い化粧が施された。
それから、大広間まで案内される。
そこにはコンラッドさん、ヨザックさん、有利。
名前が分からない三名。
その内の一人と茜は目が合った。
不機嫌そうに寄せられた眉、キラキラとした金髪に碧眼。
にっこり微笑めば素敵な王子様という感じなのに、腕組みをしてこっちを見ている。というか睨まれている。なぜ?
あの人に対して何かしただろうか……?
おろおろとしている茜に有利が話し掛けてきた。

「えっと、紹介するよ。そこにいる金髪の奴がヴォルフラム、紫の長い髪の人がギュンター。
この人が茜に言葉を教えてくれるよ。
あそこに眉を寄せて怖そうな顔をしてるのがグウェンダル。
そっちの二人…コンラッドとヨザックは大丈夫だよな」





2013.08.02 UP
2013.08.20 加筆、修正
まだまだ中途半端w

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