あの頃の君たち(1/3)


あの頃の僕らは今よりもずっと素直で不器用だった。
情けなくて、みっともなくて、格好悪くて。
だからこそ、できたことは今よりもずっと多かったんじゃないか。

昼下がりの気だるい午後の授業。
パタパタと廊下を走る上靴の音や、まだ幼い私たちの笑い声。
夏休みの誰もいない教室。
部室の匂い。
ひっそりと呼吸をする図書館の空気。

思い出す記憶の断片はどれもキラキラと輝いている。

教室の窓からつい好きな子を探してしまうあの時間。
放課後の夕暮れの廊下や階段で2人きりですれ違ったあの瞬間。
誰かが呼んだ彼や彼女の名前に大袈裟に反応したり。
何でもないようなふりをして、語り合った夕方のあの日。
思いがけず触れた手とか、合ってしまった視線とか。

そういう一つ一つが、今はもう戻らない時間に詰まっている。

あの頃確かに僕らはそこにいた。




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