2020/02/27
「えぇ!? なんでまた死体があるんです!? どどどどうしましょう最原クン...!」
「...いや、それにしては死体発見アナウンスが流れてないよ。たぶん生きてる...んじゃないかな」
何度となく繰り返した台詞だけれど、台本を読むような感覚でも、覚え切った映画のような感覚でもない。
半分は、本当に体験しているかのようで、もう半分はデジャブのような感覚で。
強く意志を持てば違う行動も行えるが、自然と流れに乗っていれば記憶通りに世界が進んでいく。
このプログラム世界は、モノクマが準備した物のように現実の命が脅かされるようなことは無い。
痛みも幾らかマシだけど、流石に背中に斧が突き刺さるのは恐怖体験だったな。
...そんな事も言ってられないけど。
目の前の紗如ちゃん達が目を覚まし、その後すぐにモノクマが現れた。
ちなみに、このモノクマに知能は無い。
間もなくして、側葉良さん達が紗如ちゃんの手を引いて、4人は教室を出て行った。
僕は、この後トイレに行って、足りない備品に気付いて倉庫に向かうことになる。
*
「あのぉ...なんで王馬クンが着いて来るんですか?」
「キー坊こそ、役立たずのクセになんで来たの? 倉庫は粗大ゴミ置き場じゃないんだけど!」
「くっ...いいです。今のボクはキミの差別にも耐えてみせます。いいですか王馬クン、最原クンが大事な覚悟を決めたんですから、余計な邪魔をしないで下さい」
「余計な邪魔はお前の方だよ。譜字平ちゃんの絶望的切断シーンを、こんな大勢で見ようっての? オレと最原ちゃんだけで十分だよねー?」
「それは...確かにそうですが...」
「ほらみろ! 不謹慎ロボット!」
「あの、それなら僕とゴン太くんだけでいいかな...」
倉庫の前に辿り着いた所で、僕が立ち止まると、後ろに続いていたゴン太くん、王馬くん、キーボくんも足を止めた。
「えー? なんでゴン太なの? コイツろくにこの世界のこと分かってないし、余計なこと言うに決まってるよ! って、キーボが言ってたよ!」
「ボクはそんなこと言いません!」
「前回百田くんが来たとき以外は、毎回ゴン太くんが一緒だったし。そもそも王馬くんって、この時一緒に行動してなかったよね?」
「でも別に、譜字平ちゃん達が目覚めるところに一緒に居てもフリーズしなかったよ? みんな経験でわかってるじゃん。大きく逸脱しなければフリーズは起こらない。オレが一緒に行こうが、百田ちゃんが一緒に行こうが、フリーズは起こらないし、譜字平ちゃんの腕も吹き飛ぶんだよ!」
「分かってるよ!」
思わず声を荒らげる。
キーボくんとゴン太くんは驚いた様子だったが、やはり王馬くんは動じなかった。
しばらくへらへらと笑っていたが、彼は諦めたようにため息をつく。
「はぁ、まあ別にいいよ。オレの目的はこんなことじゃないしね。けどさー最原ちゃん、こんなところで躓いてたら、時間が掛かりすぎるよ? プログラム世界が無限だと思ってると、痛い目見るかもね! じゃ! オレはこれで!」
「なっ...」
何を言いたいのか質問させる間もなく、王馬くんは身を翻す。
そして、キーボくんの肩を掴んで乱暴に引っ張った。
「キー坊も邪魔だろうから、オレがどっかやっとくよ! 頑張ってゴン太! 最原ちゃん!」
そして、反抗を示すキーボくんを無理矢理引きずって、階段の方へ走って行ってしまった。
残された僕とゴン太くんは、顔を見合わせるが、王馬くんに翻弄される度に考え込んでいても仕方がない、と思い、倉庫の扉を開いた。
「うわっ」
そう、いつも通りに驚いた声を上げて、倉庫の中へ入って行った。