「女売りしてたらそりゃ人気だよなぁ。外よりマシなだけで、ノーマルの方が多いんだし」
「あそこまで女貫くなら、体も女にしちゃってここから消えねーかなって感じじゃね?」
「男の世界で異質な私♡に酔ってるよなぁ、女なら売れてねーよブス」
「あのぶりっ子もキツいよな、あれに騙されるなんて客も底辺の非モテでしょ、似た者同士じゃん」
あーあ、暇なんだね、下らない。
俺は予約がいっぱいで忙しいし、君達みたいに悪口を吐く暇もないけど。
負け犬の遠吠えは聞いてて…気持ちいい。
なんて1人で強がって、いつも通り客の好みの衣装を見に纏いながら廊下で話す3人を通り過ぎてエレベーターに向かう。
最初は、俺が近くに来れば話すのを止めていたけど、俺が無反応だからか最近はお構いなしに話している。
カチャン、と開いたエレベーターにヒールの音を立てながら乗ればボタンを押して、仕事用の携帯を見る。
クソ、クソ…クソ…。お前らもその大きな体でやれば?女装。お前らと違って、こっちは写真はほぼ加工なしで頑張ってんだよ!盛りまくってるから、写真で見た感じと違う、とか言われるんだろ。
女装しても売り上げ伸びてない子は伸びてないし、お前らの態度が悪いんだろ!
売れないのを俺のせいにすんな…!
イライラ止まんない。
ムカつく…ムカつく!!
「椿ちゃん!ごめんね、仕事が長引いて…待ったね、先にご飯食べよう!何が食べたい?」
こんな日に限って待ち合わせに客は遅れて、ずっとアイツらの言葉が反復する。
もう、最悪…!
「お客さんと何話そうかなって考えてたら、あっという間でしたよ♡私、おうどん食べたいです♡」
「えぇ〜?何話してくれるの?楽しみだなぁ、じゃあうどん食べようか。」
ニコッと笑って、客の腕を抱きしめて甘えながら歩いていく。
大抵の客はご飯は奢ってくれる、分かってるけど…それに甘えないのが、俺のポリシー。
「私、自分で払いますよ…?」
「だめだめ、待たせちゃったから、お詫びお詫び!」
「ん〜〜…じゃあ、お言葉に甘えて…ご馳走様です!」
あまり拒否しても傷付けてしまうかもしれないから、程々にして素直に甘える。
奢ってもらったら何かしらお返しをする、これも俺は大切にしている。
そうしたら喜ぶのも分かってるし、貰いっぱなしは気持ち悪くて嫌いだから。
そのおかげか、ブスな俺でもリピート率は圧倒的No. 1、店に内緒のチップを抜きにしても、売り上げもNo. 1
まぁ、年中働かないとうるさいから、他の奴より出勤数も圧倒的なんだけど。
でも、他の奴らのSNSだって、せいぜい顔盛りまくって1000人?ふん、俺は目の大きさも輪郭も弄らないで、写真の色合い弄った程度で10万ですけどー?
ブスに負けるってどんな気持ち?聞いてやりたいね、負け犬フェイスが俯いていくのを見るのはさぞ楽しいだろうな!
…………。
めっちゃくちゃ刺さってるな!俺!!もう!!
母さんも美人で、父親もムカつく程顔が良いし、失安も顔面国宝なのに、なんで俺は…どこから来たんだよ、この遺伝子…なんで俺だけ…。
そうだよ、ブスだよ!だから媚びて媚びて媚びまくって、人気取ってるんだよ!
分かってるって…分かってる……って…。
まぁ…客が可愛いって言ってくれるだけ、今はいっか!!!