エッセイ *恋愛
貴女と二人で[長編]
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貴女は歌を歌っている
いつも貴女は穏やかで、笑っていて、楽しそうで
このスタジオ練のひとときを特別に彩る

貴女は歌姫、貴女はボーカリスト



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誰かを愛することなんてできるわけなくって
だけど誰かに愛されたくて
変わらない昨日が続いたとしても
どこへも行けやしないんだ私とキミ

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-take1-


ただただ忙しい毎日を過ごしていた。追われるように、繰り返す不規則で規則正しい仕事と勉強で切り詰められた時間。
好きでこういった道を選んでしまったんだけど、どうにもならないこの不自由さが楽しくも苦しい。

こんな状態なのに私がバンドをまた組むなんてね。
出来るのかな、無謀だな、ただでさえカツカツな生活なのに音楽の時間作れるのかな。


前に組んだバンドも、この状況じゃ上手く課題を消化出来ずに一人置いてきぼりで迷惑だけ掛けて辞めてしまったっていうのに……。



******

神さま どこへ行ってしまったの ねぇ
返事はなくて いつだってそう
Are you still here?

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「私、このバンドでギターしたいんですが…自信なくて。取り敢えず、様子見で仮入部的なものからでもいいですか?」


思わぬきっかけで誘われたガールズバンドのスタジオ練の見学、知ってる人は誰も居なかった。だけど単純にこのバンドいいなって思ったから。

みんな、音楽好きなんだね。それぞれが練習にストイックに取り組んでるのが伝わって来た。

このバンドなら? 私もまた、やり直せる? 楽しめる?
わかならないし、自分次第ではあるけどやってみたいって直感で思ったんだ。



「ねぇねぇ、いつからギターやってるの?」

「21くらいの時ですかね?」

「そうなんだぁ、因みにどんなバンドとか組んでたの?」


ボーカルの人が、一人歩いていた私の隣に並んで歩く。スタジオが終わってみんなで駅へと向かっていた。


「始めは、ロックバンドのコピバンでしたが女性ボーカルのバンドも組んだり」

「へぇ、ロックね! 好きなアーティストとかやりたいバンドある?」

「私一番好きなバンドかあって、クリープハイプって言うんですけど。それやってみたいですね」

「名前知らないかも、ググるわっ」


サササッと、携帯を操作して調べる時間が余りにも早くて思わず感心していた。

「早いですね…!」

「私なんでもすぐググるからなっ!! これやろ? クリープハイプ」

「そうそう、これなんです」


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