エッセイ *恋愛
二人で作る倦怠期
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『甘えたさん』


重ねられた手。

そのまま貴女の頬に引き寄せられて、紅く色づき熱を集めるそこに当てられた。


無言のまま私の冷えた手の甲に何度か口付けて、微笑みながらこちらの様子を伺ってくる。

ふに、としっとりと柔らかで頬と同様に熱を帯びた唇の感触は、どうも脈を速くさせる。
心地よくて、だけど恥ずかしくて。



「好き」

じっと私の瞳を見つめたまま吐き出された今の言葉に味がついていたら、甘ったるい味に違いない。

「私も、好き」


ニコッと嬉しそうにしながら、知ってたよと茶化してまた手に唇を押し当てた。


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