創作小説 *恋愛
林檎で5つのお題
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『アダムとイヴ』



手を繋いだ。

にこりとこちらが笑いかけると、ふふと言って向こうも少し顔を傾けて合図する。


うちから少し指を持ち替えて、絡めた。



「それ、恋人繋ぎやんっ」

「うん、すんごいラブラブやろー」



冗談ぽく返す、これは作った声と言葉。


「ほんまやぁ、こんな指絡めて見せ付けてたら、周りの通行人に恨み買うで」

「それヤバい、隠さなっ」


わざと少し慌てたふりをして、ハルエの手を自分のポケットに引っ張りこんで入れた。


「もうー」

「これで後ろから見えんやろ」


素晴らしい笑顔で隣に語り掛ける。


「前から見えるやないの! しかもこれのが、さっきよりもラブラブ度が上がってるやんっ。余計恨み買いますがな」


ハルエの怒りっぷりになんか可笑しくなって、うちは少し本当に笑った。


「ま、えーやん、恨みなんかいくらでも買ってやったら」

「いくらでもって」


こっちにつられてハルエも笑いながら喋る。
それから一呼吸置いて、うちは少し真剣な口調で話し掛けた。



「うちら、恋人同士やからそれ見てひがむ奴なんてようけおる……。そいつ等を乗り越えて愛が大きくなるんや」

「あれ、いつの間に恋人設定。女同士やから禁断の愛やんか」




いつものように笑い合った。

こちらの本当の気持ちも知らずに、彼女は可愛らしく笑っていた。


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