ぐだぐだな結末






 涙目で今までの鬱憤うっぷんを吐き出した魔王。
 同情する余地はあるけど、実害がある。
 俺一人では手に負えなくて、イヴに意見を聞こうとした。

「……ふ、うふふっ」

 だが、その前にイヴは俯き、不気味なほど笑っていた。

「責任を押しつけられた? 隠居したい? 貴方、魔王でしょう? 魔王なら魔族を統率するくらいの気概きがいを見せたらどうなのです」
「ひっ……そ、それができたら苦労しないっ……!」

 ゆらり、顔を上げたイヴは笑顔を見せた。
 ただし、目は笑っていない。完全に据わっている。

「他国で政治を学ぶとか、魔族の暴動を抑えに行くとか、できたはずですが、何か?」
「ひぇっ」

 魔王は引き攣った声を上げて、後ろ足を引く。

 え、魔王ってこんなにへっぴり腰でいいのか? 情けないにも程があるぞ。

「貴方が行動しない所為で、いくつもの町が、国が、めちゃくちゃになったのですが? どう落とし前をつけるつもりですか?」
「そ、それは……」

 視線を明後日へ向けて言いよどむ魔王。
 その煮え切らない態度に、ついに、イヴの堪忍袋の緒が……ブチッと切れた。

「何ですか、その、なよなよしい軟弱な態度! 今ここで矯正してさしあげます!!」
「ひぃっ! ちょっ、まっ、わあああああああ!!」

 魔王は持っていた旗をポイッと捨てて、一目散に部屋から出て行く。
 イヴは「待ちなさい!」と怒鳴りながら追いかけていく。

 残された俺は、壊れた壁から外を見る。綺麗な夕日が、空を茜色に染めていた。

「……うん。これにて一件落着。めでたしめでたし」

 最後まで締まらない旅だったけど、まあ……いっか。


「勇者」と「聖女」の魔王退治の物語は、こうして幕を閉じたのでした。



24 / 25
prev | Top | Home / | next