スポンジケーキに生クリームをヘラでのばす。午前中に授業が終わり、昼には帰宅していた。暇潰しに、と始めたケーキ作りだったが集中力が切れ、ふぅと息を吐く。

「もうすぐおりはらさんかえってくるかな」

鼻歌を歌いながら作業を再開させる。
ガチャ、ガチャ、ガチャン。
鍵の音が響き、臨也が帰って来た。

「おかえりなさい、おりはらさん」
「ただいま。良い匂いだね」
「ひまだったのでケーキつくってました」
「受験勉強は?」
「……おわってからやります。もうすぐできあがるので」

ててて、とキッチンに駆け込み、作業を続ける。臨也はジャケットを脱いでハンガーにかける。机の上に置かれた参考書や過去問に目を通す。

「懐かしいなあ」
「そうでしょうね」

苺を飾りながら答える。

「でーきたっ」

ケーキを持って臨也の元へ歩く。

「ホールか…」

暫くの甘味はケーキだな、と思いながら切り分けられたケーキに手をつける。

「××ちゃん、紅茶煎れてくれる?」
「はい」






「おりはらさん、くるしいです」

夜。2人で同じベッドに寝転がり、ぎゅっと臨也に抱きしめられていた。
温かい体温に××は瞼を閉じる。
ちゅ、と唇を奪われ、次にお決まりのディープキス。

「ん…」
「九瑠璃と舞流にどこ触られた?」
「くるまいしまいにしっとしてるんですか」
「早く」
「キスされてくびにうでまわされただけですよ」
「本当に?ここも触られてないの?」

やわやわと服の上から胸を揉まれる。

「ほんと、です」
「ふうん」

再びキスされる。
舌を弄ばれ、執拗に追い回される。

「少年Aには?」
「こくはくされただけです」
「そう」

どこか納得のいかない顔をしているが、事実は事実だ。仕方ない。

「おりはらさん、トイレいきたいです」
「俺のキスで感じた?」
「ちがいます」

ぴしゃりと言い放って臨也の腕から抜け出してトイレへと向かう。
暫くして出て来た××はバタバタと部屋を行き来して、臨也に告げる。

「おりはらさん、なりました」
「え」
「だから…せいりに。ちょしょうです」

恥ずかし気に××は身体の前で指を絡める。念の為、ナプキンや生理用パンツ、オーバーパンツは既に用意してあったし、汚物入れも便器の横にいつも置いてあった。備えは万全だったが、よもやこんな形で臨也に告げることになろうとは。ゾンビである己にも生理が来たことに驚きつつ、携帯片手にセルティにメールを打つ。

「#名前#ちゃん」

おいで、と手招きされて臨也の傍に寄る。抱き寄せられ、優しく包み込まれた。

「今晩の飯は赤飯と鯛にしようか。いやあ、それにしてもお目出度い!これで××ちゃんは自然と俺を受け入れる準備は万端な訳だ」
「ふざけないでください」
「俺はいつも真面目だよ」

ぷくぅっと膨らませた頬を押されて空気が抜ける。

「愛してる」

ちゅっ、とリップ音。

「おりはらさんのあいはふとくていたすうのにんげんにむけられているのでほんきにしませんよ」
「手厳しいなあ」

ごろん、と2人で寝転がり、さあ!と意気込む臨也。

「セックスしようか、××ちゃん」

寝転がったまま「は?」と気の抜けた返事をした。



お祝いの前に


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