ようこそ忍術学園へ
ふわふわと浮いているみたいなのに頭や体が重だるい感覚に、ああ、熱があるなぁとぼんやり思う。
重たい瞼をゆっくりとこじ開けて見た先にはいたって普通の木目の天井が映った。
「(………どこだろう……?)」
十年以上も寝起きしてきた自室とは模様が違う天井に自分が家ではないどこかにいることは正常に働いてない頭でも理解できた。…えっと、こうなる前は何をしていたんだっけ?と、ふわふわする頭で学校から帰る道を順に辿っていく。夕飯で作るハンバーグの材料を買いにスーパーに寄ってから帰って、そしたら御神木から猫が降りられなくなってて……
そうだ…!
私、アサを助けに御神木に登った後一緒に落ちちゃって、でもなんでか森の中にいて、着物を着た男の子たちに会ったら男の子たちを追いかけてきた刀を持った男の人にアサが怪我をさせられたんだ…!
目を覚ます前のことを思い出したけど、それで私の熱が下がる訳でもぼやっとした思考が鮮明になることもなくて、森の中の洞穴に居た筈の私がどうして建物の中に居るのかとか、救助をされたのか又は誘拐されているのか…考えなければいけないことは沢山あったはずだけど熱で頭が回らない私は可愛い小さな友人が無事なのかだけがとにかく心配だった。
「(……さがしに行かないと…!)……アサっ、……」
気怠い体に鞭打ってなんとか起きようとした時…、
「ミャー」
耳に馴染んだ飴玉を転がしたような愛らしい鳴き声がすぐ隣から聞こえた。鳴き声の方を見れば、たった今探しに行こうとしていた真っ黒な毛並みの猫が後ろ足を投げ出した姿勢でこちらを見上げている。
「……あ、…アサ…。よかった……」
「ミィー」
焦燥感の原因であった小さな友人が元気な姿で目の前に居ることに安心