柔い01
「……っ、」
声を上げそうになり、思わず唇を噛んだ。
(な、な、な…っ?!)
確かに寝やすいとか柔らかいとか暖かいとか思っていたが、その正体がこれだとは思わなかった。
ゾロは仰向けに寝転がったまま、直ぐ上にいる#name1#を見た。#name1#は遠くの海を眺めているようで、ゾロが起きたことには気づいていない。
そしてその肩に凭れ掛かっているのはルフィ。つまりは、ルフィに肩を貸している#name1#の膝を、ゾロが借りていたということ。
所謂、膝枕。
(俺、いつ膝枕して貰ったんだ?思い出せねェ…っ)
「ん〜…肉ゥ〜…」
「!」
グラリとルフィが#name1#に傾いた。それに伴って#name1#が困った顔をした。
#name1#も傾く。スローモーションにも見えるその動きは、直ぐに終わりを迎えた。バタッ、と音を立て、二人共倒れる。
「……んぅ…?」
肘をついて少し躰を起こした様子の#name1#に、咄嗟に目を瞑ってしまった自分に頭の中で罵声を飛ばす。
なんで寝たふりなんてした俺!?
起きるに起きられなくなった俺と、目を覚ましてさえ居ないルフィ。
抜け出そうとしない太腿の感触に、また眠ってしまったのかと思った時、自分の頭にゆっくりと手が触れた。まるで愛おしいとでも言われているような撫で方に、顔が熱くなっているのがバレやしないかと心配になる。
繊細なものにでも触れるような撫で方。むず痒くて仕方がない。数回頭を撫でると、その手は動かなくなる。
「オイオイ…」
ゆっくりと目を開けると、すやすやと眠る#name1#とルフィの姿が。
溜め息を吐く。
「ん……」
「!」
苦し気に顔を歪めて声を漏らす#name1#に再度視線を向けると、ルフィの下に埋もれていた。苦しくて当たり前だ。ルフィの肩を掴んで#name1#から引き離そうとする。が、離れない。
こ、こいつ…!
#name1#を抱き枕にしていた。潰す気かと怒鳴ってやりたかったが、そんな事すればまた#name1#が起きてしまう。こめかみをピクピクと痙攣させながらも、ルフィの腕を引き剥がそうと掴んだ。
「ぐ…っ?」
取れない。
どんだけ腕に力込めてやがんだこいつ!絞め殺す勢いで#name1#に引っ付くルフィの寝顔は、やたら幸せそうで、時折「肉〜#name1#〜」と呟いている。
「……ったく…」
何だか一人で無駄な努力をしているみたいだと思ってしまい、また#name1#の太股に後頭部を預ける。
「…………」
いや、これ、余計に負担が掛かるんじゃねェか?狭い船の中ではあまり動けないが、なるべく二人から離れようとする。
「っ?!」
腕を掴まれた。いや、掴まれたと言うよりは、#name1#が腕に抱き着いている。俺にどうしろって言うんだ!空いている手で顔を覆う。悪女かとも思うが、こいつの場合はまず寝ているから違うはずだ。第一、普段の行動からしてドのつくこの天然ぶり。男二人に囲まれて平気で寝れる神経はもともと持ち合わせている女だ。俺、というか誰かこいつに男として見られてる奴はいないのか?素朴な疑問。
「あー…クッソ…!」
#name1#は良い奴だと思うが、別に女として特別意識している訳でもない。なのに、何だこれは。
色々と考えてしまって眠れやしない。せめてもっと船が大きければ良いのに。傷一つ無い、艶やかな脚が動いて、スルリと腕を滑った。驚いて腕を離すと、膝丈のはずのスカートの裾が際どい部分まで捲れてしまい、慌てて直す。見えなかったものが見えるというのは、
落ち着け、落ち着くんだ俺!心臓が意に反してバクバクと高鳴る。
「ん……」
「ッ…!」
これじゃ俺が変態みたいじゃねェか!頭を何度か振って、離れた所まで行ってふて寝を決め込んだ。冷たく固い板に腕を組んで置き、そこに頭を乗せて夜空を仰ぎ見る。
それでも、やっぱり#name1#の膝を思い出してしまう。その度に頭を振り乱して変な考えを追い出した。柔らかかったとか考えてんじゃねェよ俺!
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