05
「はァ食った食った…!!さすがに9日も食わねェと極限だった!!」
ゾロさんはお腹が空き過ぎて倒れてしまったみたい。
「そんな状態でよく動けましたね…」
どういう躰をしているのだろうか。それとも精神的なもの?
「じゃあどうせ1ヶ月は無理だったんだな!」
そう言って食べ物を口に詰め込むルフィさん。
「おめぇは何でおれより食が進んでんだよ」
ルフィさんは未だに食べ続けている。それにゾロさんは呆れぎみだ。
「ルフィさんはいつもこれくらいで…」
「おまえは全然食ってねぇじゃねぇか」
「それも…いつもです…」
「そうなんだよな!昔からだ!こんなにうめぇのによぉ…」
「体質なので…」
「すいませんなんか…僕までごちそうに…」
コビーさんはあの女の子のお母さんにお礼を言っていた。私もハッとしてお礼を言う。
「いいのよ!町が救われたんですもの!」
笑って答えてくれる。
「やっぱりお兄ちゃんすごかったのね!」
「あぁ!すごいんだ。もっとすごくなるぞおれは!」
「それで、ここからどこへ向かうつもりだ?」
ゾロさんが訊く。
「偉大なる航路へ向かおう」
顔を逸らす。
「#name1#どうした?」
「#name1#さんは呆れてるんです!たった三人でグランドラインへ入るなんて!!死にに行くようなもんです!!」
コビーさん、説得はありがたいけど三人って…三人って言っちゃってるから…。
「わかってるんですか!!?あの場所は世界中から最も屈強な海賊たちが集まってきてるんです!!」
「そうですよ…海も人もでたらめな場所です…せめてもう少し慎重に行った方が…」
私もコビーさんに便乗して物申す。
「まぁ、どの道【ワンピース】を目指すからにはその航路を辿るしかねェんだ…いいだろう」
「いいってあなたまでゾロさん!!?」
「別にお前は行かねェんだろ…?」
「い…いか…行かないけど!!心配なんですよ!!いけませんか!!?あなた達の心配しちゃいけませんか!!」
ばんばんとテーブルを叩きながら声を上げるコビーさんに、ゾロさんもたじろいでいる。
「ルフィさんぼくらは…!付き合いは短いけど、友達ですよね!!」
「ああ、別れちゃうけどな。ずっと友達だ」
コビーさんはぱっと笑顔になった。
「#name1#さんも…また、ぼくに会ってくれますか…!?」
また声が大きくなって吃驚した。
「はい…コビーさんさえよければ。私は東の海に残るつもりですから…逢おうと思えば…」
「#name1#!おまえいい加減にしろよ!おまえは俺と一緒に行くんだぞ!」
「え、ごめんなさ…え、あれ…!?」
いい加減にしろって…なんで私怒られてるんだろう。私が悪いのか…?
「なんだ、おまえは行かねェのか」
「村から出るつもりさえなかったんですが…」
しゅん、と肩を落とす。
「小さい頃から連れてくって決めてたんだ!」
「あー…」
気の毒だな、なんて顔で見られる。
「#name1#さん、あの、ぼくも海兵になるために頑張ります!お互い頑張りましょう!」
「…コビーさん…ありがとうございます。私、頑張ります…!」
「はっはい!」
思ったより大きな声で返事があって、吃驚した。
「ぼ、ぼくは……小さい頃からろくに友達なんていなくて…。ましてや、僕の為に戦ってくれる人なんて絶対いませんでした。何より、ぼくが戦おうとしなかったから…!だけど貴方達三人には…!自分の信念に生きる事を教わりました!」
3人…?私…じゃないよな。この女の子のことかな。磔にされた人の所に、恩人だからとおにぎりを持っていくような優しい子。
「だからおれは偉大なる航路へ行くんだよ」
「まァそうなるな」
「あっ、そうか。いや!!違いますよ、だから僕は今行く事が無謀だって…」
そう、その通り!よく言ってくれた!
そう思ってコビーさんを見ると同時に頭を軽く小突かれた。……ゾロさんに。
「諦めろ」
読まれた?心読まれた…?
「それよりお前は大丈夫なのかよ」
「え?」
返す言葉が出てこない間にゾロさんはコビーさんに話しかけた。話が変わってしまった。
「雑用でもアルビダの海賊船に2年居たのは事実なんだろ。海軍の情報力を見くびるな。その素性が知れたら入隊なんてできねぇぜ」
え、そうなの…?
「失礼!」
「?」
返事も待たずに家に入って来たのは海兵だった。うわ、町の人たちもすごい見に来てる。
「君らが海賊だというのは本当かね……」
「いえ、私達は…」
「今から海賊って事にしよう!」
ルフィさん…!!
「反逆者としてだが我々の基地とこの町を実質救って貰った事には一同感謝している。しかし、君らが海賊だと分かった以上海軍の名において黙っている訳にはいかない」
入って来た、多分今いる中で一番偉いであろう人が更に続けた。
「即刻この町を立ち去って貰おう。せめてもの義理を通し、本部への連絡は避ける」
その言葉に町の住人達が一斉に抗議をする。良い人達だ。
「じゃ…行くか。おばちゃん、ごちそうさま」
「ご、ごちそうさまでした…っ」
ルフィさんが立ち上がったので私も席を立つ。ルフィさんとゾロさんは無言でコビーさんの横を通り過ぎる。
「君も仲間じゃないのか?」
海兵さんがコビーさんに訊ねる。
「え!ぼく……!ぼくは……ぼくは彼等の……仲間じゃありません!」
これでコビーさんは海兵になれるだろうか。でもやっぱりもう一度会うのは難しそうだ。
「待ちたまえ君達!」
海兵さんが、本当かどうか聞いて来る。
「おれこいつが今まで何やってたか知ってるよ」
ルフィさんはコビーさんの今までを話し出す。
「こーんな太った女の海賊がいてさァ。アルビダっつったかな。何だか厳ついおばさんなんだけど、2年間もこいつそこで…」
「やめて下さいよ!!!」
──バキィ!!
コビーさんが、ルフィさんを殴った。
でも、ルフィさんも、ゾロさんも笑ってる。
「やったなこのヤロォ!!」
今度はルフィさんが殴り返す。
「このやろ!このやろ!」
ルフィさんが一方的にコビーさんを殴る。
「これ以上この町で騒動を起こす事は許さんぞ!!」
「おいおいやりすぎだ。そのへんにしとけよ」
ゾロさんがルフィさんの首根っこを掴んで止める。
「君らが仲間じゃない事はよくわかった!今すぐこの町を立ち去りなさい!!」
海兵さんに言われて私達は港へ向かった。
「たいしたサル芝居だったな。あれじゃバレてもおかしくねェぞ」
「あとはコビーが何とかするさ絶対!」
「何にしてもいい船出だ。みんなに嫌われてちゃ、後引かなくて海賊らしい」
「だははは、そうだな!」
二人とも…。
「ル!ル!ルフィさんっ!!」
私達が小船に乗る準備を始めていると、そこへコビーさんが走ってきた。
「ありがとうございました!!この御恩は一生忘れません!!」
コビーさんは敬礼しながら叫ぶ。
「また逢おうな!コビー!!」
「はい!ルフィさん、絶対に次の仲間は女性にして下さいね?!」
「ん?そりゃあ、気に入った奴だったら女も仲間にしようと思ってるけどよ……」
「絶対にです!絶対!男二人の中にか弱い#name1#さんを放り込むなんて殺生な事本当はしたくないんですがそうも言ってられないのでせめて直ぐに女性の仲間を増やして下さいお願いしますだって本当に心配なんですよ僕の知らない所で#name1#さんに何かあったら!」
「コビーさん…」
感動した。
ノンブレスで言い切ったコビーさんは息を切らし、苦しいのか顔が真っ赤だ。
「ありがとうございます…!そんなこと言ってくれるのコビーさんだけです…!」
じ〜んと感動していると、
「え、ちょ、ルフィさんどうなってるんですか!」
「俺に言うのかそこ。でもこの町に来るまで俺とコビー居て3人だったろ?」
「ぼくは良いんですよ健全だから!」
「おれが健全じゃないって言いたいのか?」
「そんな事言ってません!ぼくは#name1#さんと同じ女性を早く仲間にしてほしいと言っているんです!」
「あの、でも私なら大丈夫だと思いますけど…」
「大丈夫じゃないですよ!普通に考えてみて下さいよ!男二人の中にか弱い女性を入れますか!?」
「まァ、入れないな」
「そうかァ?」
「貴方は鬼ですか?!」
えーと、私の話なんだろうけど、まああんまり私は話に入ってないから別に良いかな。停めておいた小舟に乗り込んだ。コビーさんの気遣いだけ、ありがたく感じておこう。
「そろそろ行くぞ」
「おう、また逢おうな!コビー!」
ルフィさんが笑顔で大きく手を振った。
「全員敬礼!!」
「え!?」
コビーさんは後ろから声が聞こえて驚いているけれど、私は笑ってしまった。
「海兵に感謝されるなんて、変な海賊ですね…!」
コビーさんの後ろに海兵さん達が並んで敬礼していたから。町の人たちも見送りに来てくれていた。
「ああ、聞いた事ねェよ」
ゾロさんも笑ってくれた。
「しししし!くーっ行くかァ!!偉大なる航路!!」
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